2019年10月(半年の延期が発表されました)から第4のキャリアとして舵を切る予定の「楽天モバイル」。「ドコモ」、「au」、「ソフトバンク」他キャリア3社に対して、どのような戦略を取っていくのかが注目されています。
そしてユーザーに提供する通信環境についても、楽天モバイルは画期的な構築方法で他キャリアと差別化を図ろうとしています。それは「NFV(Network Function Virtualization」とも呼ばれる、「仮想通信ネットワーク」ベースの通信環境構築です。
今回は楽天モバイルが導入しようとしている仮想通信ネットワークとは何か、そしてメリットやこれからなどをご紹介していきます。「楽天モバイルの発表で説明された仮想通信ネットワークが何なのか気になる」という方は分かりやすく解説しているので、ぜひご覧ください。
目次
仮想通信ネットワークとは
従来の携帯電話の通信環境は、さまざまなハードウェアにより構築されていました。そのため構成が複雑で、異常があったときは原因切り出しにも時間がかかり、メンテナンスも容易ではありませんでした。また複雑な分設備コストも膨大にかかっていました。
楽天モバイルでは通信環境をクラウドサーバーとソフトウェアベースで構築し、通信設備に必要なハードウェアを仮想化すると発表しています。これが仮想通信ネットワークです。
実はすでにNTTドコモは2016年から仮想通信ネットワークを導入しています。しかしドコモの場合はすでにハードウェアベースの通信環境があるため、全面的に仮想通信ネットワークを導入するのは難しい状況です。
楽天モバイルはこれから通信環境を構築していくため、既存の設備に縛られなくて済みます。ですから仮想通信ネットワークを全面導入するといった思い切りのよい判断ができたわけです。
仮想通信ネットワークのメリット
仮想通信ネットワークで通信環境を構築することには、次のメリットがあります。
・通信設備投資費を抑えられる
・メンテナンスやアップデートなども容易
・新しいサービスをユーザーに続々提供できる
通信設備投資費を抑えられ、短期間で整備できる
先ほどもお伝えしたとおり、仮想通信ネットワークでは可能な限り通信設備をクラウドサーバーとソフトウェアで仮想化します。ですから既存の通信設備と違い、例えば基地局に必要な設備はアンテナと配電盤、バッテリー程度です。その分通信環境構築にかかる費用が大幅に削減できます。
また通信環境構築時間も同時に短くなるので、急な通信エリアの拡大にもスピーディーに対応できます。通信環境構築費用も構築にかかる時間も削減できるのが、仮想通信ネットワークのメリットです。
メンテナンスやアップデートなども容易
既存の通信設備は専用のハードウェアを利用していたため、不具合があったときのメンテナンスにも時間がかかっていました。また設備をアップデートする際は、ハードウェアごと交換を考える必要がありました。
仮想通信ネットワークでは、通信設備に必要な機能をソフトウェアで仮想化するため、専用のハードウェアを使うよりシンプルな構成です。その分メンテナンスも簡単ですし、設備のアップデートはソフトウェア変更だけで済んでしまいます。
メンテナンスやアップデートなどの作業が容易にできるのも、仮想通信ネットワークのメリットです。
新しいサービスをユーザーに続々提供できる
仮想通信ネットワークでは、ソフトウェアを新しくインストールするだけで新サービスを提供できるようになります。つまりユーザーの要望があればすぐにサービスを用意し、提供できる環境になっているということです。
楽天モバイルでは「モバイルネットワークの民主化」と称して、誰もが安価に高速ネットワークを、新しい使い道で使えるようになる環境を目指しています。モバイルネットワークの民主化を実現するために、柔軟にサービスを提供できる仮想通信ネットワークは大きな鍵となります。
仮想通信ネットワークのこれから
仮想通信ネットワークはメリットが大きく、楽天モバイルやドコモだけでなく各通信関係会社が注目しています。日本政府が通信料金値下げを推奨している点からも、コストを抑えて通信料金に反映できる仮想通信ネットワークには大きな魅力があります。
今後は仮想通信ネットワークベースのサービスが続々登場する可能性があると言えるでしょう。
まとめ
今回は仮想通信ネットワークの概要やメリット、これからなどをご紹介しました。
通信環境コストを抑えて、柔軟に提供できる仮想通信ネットワークは次世代の通信環境構築技術です。楽天モバイルが成功すれば、それだけ仮想通信ネットワークの注目度はますます上がっていくでしょう。
楽天モバイルと仮想通信ネットワークのこれからに期待しましょう。
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