クラウドを介してサービスを提供するベンダーが増え、クラウドサービスは多様化しています。クラウドサービスで代表的なのが「SaaS(Software as a Service)」です。そしてSaaSにも、「ホリゾンタルSaaS(Horizontal SaaS)」と「バーティカルSaaS(Vartical SaaS)」という2タイプがあります。
今回はホリゾンタルSaaSとバーティカルSaaSの違いを分かりやすくご紹介していきます。「SaaS導入を検討しているが、その前にホリゾンタルSaaSとバーティカルSaaSの違いを知って参考にしたい」という方はぜひご覧ください。
目次
SaaSとは
SaaSとは「サービスとしてのソフトウェア」を指します。クラウドサーバーにあらかじめソフトウェアをインストールした状態でユーザーに提供します。ユーザー側は契約や登録を行えば、クラウドサーバー上のソフトウェアをすぐに使えることなどがメリットです。
SaaSは企業に限らず一般人にも身近なクラウドサービスで、「Gmail」や「OneDrive」などのサービスもSaaSに分類されます。
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ホリゾンタルSaaSとは
ホリゾンタルSaaSとは、直訳すれば「水平なSaaS」となります。この場合の水平というのは業種に関係なく、というような意味です。つまりホリゾンタルSaaSとは、「業種に関係なく、特定の業務に使われるSaaS」を指します。
ホリゾンタルSaaSは日本で現在一般的なSaaSタイプであり、「会計クラウドサービス」や「人事クラウドサービス」などが例として挙げられます。そして基本は職種に関係なく、どんな企業でも利用可能です。
ただし業種によっては「SaaSにこの機能があると便利だな」といった希望も存在します。SaaSの弱点に、自社専用にカスタマイズするのは難しいという弱点があります。だからと言って自前でサーバーを用意して専用のソフトウェアを導入するには時間などの面で問題があります。
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バーティカルSaaSとは
バーティカルSaaSとは、「垂直なSaaS」という直訳になります。この場合の垂直というのは、特定の職種で使える、というような意味です。つまりバーティカルSaaSとは、「特定の業種用にカスタマイズされたSaaS」を指します。
バーティカルSaaSはホリゾンタルSaaSと違って特定の業種で使うことを想定しているため、汎用性の面ではホリゾンタルSaaSに及びません。しかしカスタマイズして指定した業種に特化している分、導入する企業側ではソフトウェアをカスタマイズする時間も省け、スムーズに欲しいSaaSを導入できるというメリットがあります。
日本では例えばカメラと連携して実店舗内の動線を確認。データを取得し来店客の動向を分析して改善に活かす小売店用のサービスや、食品製造業で発生する業務書類をペーパーレス化して、クラウド上で簡単に把握・管理ができるバーティカルSaaSなどが提供されています。
これからのSaaS
日本ではまだホリゾンタルSaaSが多く、バーティカルSaaSは登場したてといったところです。しかし汎用性の高い商品やサービスは「コモディティ化(サービスの差別化が図れないような均質化された状態)」してしまい、勝負をかけるのが難しくなってしまう傾向にあります。ホリゾンタルSaaSも実際似たようなサービスがたくさん登場しており、今後ますますベンダーが差別化を図りながら新サービスを提供するのは難しくなっていくでしょう。
SaaSで先行しているアメリカなどではすでにSaaS市場が成熟しつつあり、それに合わせて業種特化のバーティカルSaaSのシェアが伸びています。日本でも今後同じように、バーティカルSaaS系のサービスが続々登場していく可能性があります。
まとめ
今回はホリゾンタルSaaSとバーティカルSaaSの違いや、SaaSのこれからなどをご紹介しました。
「これは自社の業種特有の悩みだろう」という場合は、ホリゾンタルSaaSよりもバーティカルSaaSの方が適している場合もあります。もちろんどの業種でも同じような悩みを解決する場合は、ホリゾンタルSaaSの方が適しています。
ぜひ自社に合わせたSaaSを導入して、課題を解決してくださいね。
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