数年前から働き方が大きく変化してきた中で、「ワーケーション」という働き方に挑戦する人もだいぶ増えてきました。ワーケーションとは、仕事(work)+休暇(vacation)の造語で、もともとはアメリカから始まった働き方ですが、最近では日本でも大手航空会社がワーケーション制度を導入し、大変話題になりました。旅行先で仕事もしてしまうという新しい働き方ですが、成功させるにはコツが必要です。ワーケーションをうまく実現するポイントやお勧めの仕事などについてご紹介します。
■成功の秘訣はルールから
大手航空会社のように制度として取り入れている企業は少ないので、「ワーケーションなんて」と現実味のない人もいるかもしれませんが、出張先でメールを見たり、休暇中に作業を進めたりと、自主的に休暇中の仕事を実践している人は珍しくないように思います。
2019年4月の働き方改革関連法案の施行で有給休暇の義務化が始まり、「休みを取らなければならない」という人も増えたはず。一方で、休むのはいいけどその分、休み前と休み明けにしわ寄せで激務になり、体調を崩してしまうなんていう本末転倒なこともよく聞く話です。ワーケーションは、休暇中も仕事を滞らすことがないので、そこまで休暇前後に激務になるようなことはありません。比較的緩急の負荷がなく、長期の旅行に出かけられるのが最大のメリットになります。
とはいえ、旅行は旅行、仕事は仕事で線引きをしないとどちらも中途半端になりかねません。いずれも充実したものにするには、まずルールを作ること。例えば、朝食後と夕食前1時間は仕事、●日は仕事など、「この時間・この日は働く」と決めるのです。逆に、「この時間・この日は一切パソコンを開かない」などでも良いでしょう。いずれにしても、両方どっちつかずの失敗に終わらせないために、必ずルールを最初に決めて、旅行を共にする家族や友達、また仕事相手に共有しておきましょう。
■ワーケーションに向いている仕事は?
ワーケーションは仕事を滞らせずに長期旅行が楽しめるというメリットがあるのですが、どんな仕事の人でもできるわけではありません。第一条件として、パソコンを利用して働いている人。例えば、店舗などでサービス業に携わっている人は、そのお店に行かなければ仕事ができませんので、旅行先で働くというのは不可能でしょう。とはいえ、多くの会社員は会社に行って“パソコンで”仕事をしている人が多くいると思います。裏を返せば、そのような仕事はほとんどワーケーションが可能ということです。
中でも、特にお勧めなのが管理職層。会社員でも、営業など最前線で働いている人たちはどうしても現場にいないと仕事が成立しないという状況が多くあります。しかし、管理職層は現場で働く社員のマネジメントが仕事なので、必ずしもその場にいる必要はありません。連絡さえ取れれば、1日1回承認してくれればという状況はよくあること。このように、リモートでも支障が比較的少ないのが管理職層なのです。一方で、マネジメントがミッションの管理職層は現場にいる必要はなくても、長期的に席を空けるのは難しいもの。別の管理職にその期間の対応を負担してもらう必要があるなど、現場社員以上に影響が大きくなってしまいがちで、なかなか長期休暇が取れないという人も多いです。ワーケーションであればそのような問題もクリアできますので、管理職層も無理なく長期旅行の計画ができます。
■向いている人、いない人
ワーケーションには、仕事内容次第でできる、できないがあるように、人柄として向いているかどうかもあります。例えば、仕事とプライベートはしっかりと分けたいという人は、旅行先で仕事をするなんて苦行でしかありません。また、逆に仕事が好きすぎる人も、せっかく旅行に行っても仕事ばかりで会社にいるのと変わらないという状況になってしまいます。つまり、仕事が好きすぎず、嫌いすぎずな人が向いているといえます。
また、ワーケーションは、最初にルールを設定した通りに実行するというのがとても大切ですので、旅行とはいえ、オンオフのメリハリをしっかり持って臨めるという、切り替えの得意な人が向いています。ワーケーションがうまくいけば、定期的な長期旅行も夢ではありません。
PR系制作会社にて編集経験を積み、総合人材会社の広報部門に転職。2回の出産・育休を繰り返し、同社マーケティング部門に異動。転職サービスの女性向けtoCマーケに携わる。 ここで3回目となる出産・育休を経験。復帰後はワーママ向けキャリア支援の新規事業を社内起業。2018年より夫の転勤に伴い、家族でバンコクへ。駐妻ながら、フリーランスとして日本の仕事をリモートで継続中。