現在「AI(Artificial Intelligence)」の精度は向上しており、業務効率化などを見込んで導入を進める企業も増えてきました。AIはさまざまなメリットを私たちにもたらしますが、将来AIによりどのように職場が変わるのか具体的にイメージできる方は、意外に少ないように思えます。
AI活用により将来職場がどのように現在とは違ってくるのか知っておけば、将来AIにビジネスで向き合う必要が出てきたときに的確な対処ができます。今回はAIで実現する未来や、実際にAI活用により未来へ近づいた企業事例などをご紹介していきます。
「AIを活用した未来の職場は今までとどう違うのか知っておきたい」、「AIを活用して未来へ近づいている企業事例を参考に知っておきたい」という方はぜひご覧ください。
目次
AIとは
AIは「人工知能」のことで、人間の思考をコンピューターに行わせるような技術を指します。大量にデータを与えたり、処理によって達成したいゴールをあらかじめ設定したりすることでコンピューターに学習を行わせて、最終的には自律的に状況を判断し、最適な行動を行えるように訓練していきます。
AIは現在「ディープラーニング(各思考プロセスを階層化して、複雑な処理が行えるようにする技術)」の登場により飛躍的に進化しており、「Google」の「アルファ碁」が囲碁の世界チャンピオンを破ったりなど目覚ましい活躍を見せています。
AIは学習により多彩な処理ができるようになるので、業種にかかわらず活用が効きます。そういった背景もあり小売業界や製造業界など、さまざまな企業がAIサービスを導入して業務に活用しています。
関連ページ:業務効率化のためのAI導入のメリット・デメリット
AIで実現する、職場の未来とは
ここからは、AI活用により実際に未来の職場がどうなっていくのか解説していきたいと思います。
・人手不足が解消される
・業務が効率化され、思ってもみなかったような収穫を得られるかも
・ロボットが日常的に職場で動き回るようになるかも
人手不足が解消される
日本をはじめ世界では出生率の減少などから人口が減少し、それに伴い労働力も不足してきています。特に中小規模の企業において労働力不足は深刻で、「働き方改革をしたいのは山々だが、人手が足りていないので1人が複数の業務担当を兼任する状況が続いている」といったケースは多いです。
AIは学習を行えば、複雑な業務も代行してくれるようになります。また24時間365日休まず業務を遂行してくれるので、人件費の削減にもつながります。
このように企業でのAI活用が将来一般的になれば、慢性的な労働力不足は解消されるでしょう。
業務が効率化され、思ってもみなかったような収穫を得られるかも
AIは処理を行えば行うほど学習し、より最適な判断を下せるようになります。ですから使えば使うほど賢くなり、無駄な処理が減って業務が効率化されていきます。
そしてAIはときに、人間では思いもつかなかったような処理を行うこともあります。例えば業務分析ツールにAIを搭載すれば、AIの処理によって今まで気づかなかった業務課題が発見できる可能性もあります。
このようにAIが職場で常用されるようになると、業務は効率化され人間以外の視点による思いもしない収穫を得られるようになります。
AIロボットを日常的に見かけるようになるかも
AIはロボットとも親和性が高く、AIと言えば自然とAI搭載のロボットを思い浮かべる方も多いでしょう。AI搭載のロボットにはさまざまな種類がありますが、どのロボットも職場で社員と連携を行い、サポートをしてくれるという点ではいっしょです。
そして将来的にはAI搭載つきロボットの製造コストが下がり、中小規模の企業でもAI搭載つきロボットを見かける機会が増えていく可能性が高いです。そして接客など、従来人間にしかできなかった業務も代行してくれるようになるでしょう。
関連ページ:各社が導入中のAI×RPAがもたらす業務効率化
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AI普及における課題
AIサービスにはまだコスト面などで課題はありますが、こういった課題は時間が経過すれば解決していく可能性の高いものです。
AIがビジネスで普及するに当たっては、「AIにより雇用が奪われないか」、そして「AIにシンギュラリティが発生したとき、人間の存在自体が脅かされないか」、この2点が大きな課題として立ちはだかっています。
AIは年々どんどん進化を遂げており、将来的にほとんどの仕事がAIによって奪われていく可能性があります。実際多くの労働者が、将来AIに仕事を奪われないか心配しています。
またAIは学習し続けた結果、最終的に「シンギュラリティ(人間をあらゆる面でAIが超える現象)」が発生する可能性も示唆されています。シンギュラリティが起こると洋画やアニメの世界のように、ロボットが反乱を起こして人間の存在自体が脅かされる危険性もあります。
こういった課題を解決するには、今後「AIは人間のサポートを行うものであり、共存できる存在である」という観点からサービスを開発したり、活用するのが重要になってくるでしょう。
サービス開発においては「コグニティブ・コンピューティング(Cognitive Computing)」が一つの解決策になってくれそうです。
コグニティブコンピューティングはコンピューターがデータを認識し、人間をサポートできるような最適な答えを導き出す技術です。AIとの組み合わせも可能で、すでに「Watson」などの事例があります。
コグニティブコンピューティングで開発されたサービスはあくまで人間のサポートに徹するので、人間になり替わるという視点を持ちません。今後コグニティブコンピューティング目線でAIサービスを開発すれば、万が一シンギュラリティが発生した際も、人間の存在が脅かされる可能性というのは少なくなるでしょう。
また企業がAIサービスを導入する際はどうすればスタッフの仕事を奪わないような活用ができるか考えた上で、AI活用で空いた時間はコア業務に回す、人員配置を再考するなど適切な対応を行う必要があります。
AI活用により未来の職場に近づいている企業事例
ここからは、実際にAI活用により未来の職場に近づきつつある業界の事例をご紹介していきます。
・飲食業界
・製造業界
・自動車業界
飲食業界
飲食業界では、接客にAIロボットを導入する動きが広まりつつあります。
AIロボットは自動翻訳も可能でさまざまな言語に対応できます。またアップデートにより、さらに適切な接客が可能になります。
現在は窓口にAIロボットを置いて予約状況を管理したりといった活用がされています。
製造業界
製造業界でも、AI活用が進みつつあります。
例えば製造プロセスで不良品が発生した際も画像認識技術でAIに判断を行わせれば、適切に不良品を取り除きながら生産を継続できます。またAIによって事前に製造設備の異常を検知し、故障する前にメンテナンスを行い大きな利益損失を防ぐといった使い方もできます。
現在は液晶パネルの不具合修正、製品検査自動化などの作業にAIが活用されています。
自動車業界
自動車業界では自動運転の技術にAIが活用されています。
周囲の状況をAIで判断することで、人間の手を借りなくても適切なドライブが可能になります。最終的には全走行をAIに任せられる自動車も登場するかもしれません。
自動運転はまだ成長途上ですが、2019年5月には改正道路交通法が衆院本会議で可決され、自動運転レベル3(一定の条件のもとでシステムが運転し、緊急時にはドライバーが操作する)の自動運転車の運転中にスマホや携帯電話を手に持って操作すること(いわゆる、ながら運転)が可能になりました。それに伴い、2020年には本格的に自動運転車が公道を走るようになるかもしれません。
まとめ
今回はAI活用によって、未来の職場が現在とどう違いを見せるのかをご紹介しました。
雇用やシンギュラリティに関する課題は残っていますが、今後はそういった課題への解決方法も模索されながらAIの活用が企業で進んでいくでしょう。AIを上手く活用できれば、業務負担も減ったりと労働者にも多くのメリットがあります。
私たち一人ひとりがAIを恐れることなく、より理解を深めることが、今後の明るいAI社会の実現に向けての重要なポイントになります。
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