会社を退職する時、上司や同僚などから、心ない言葉をかけられたり、嫌がらせと思われる行為をされたりしたことはありませんか?自分自身のことではなくとも、会社を辞める同僚や先輩・後輩などが受けているのを見たことぐらいはあるかもしれません。このような退職時の嫌がらせという、いわゆる「退職ハラスメント」は日本企業ではそんなに珍しいことではありません。今回は、退職時のトラブルについてご紹介したいと思います。
目次
退職ハラスメント(退職時の嫌がらせ)がある理由
以前に比べて転職が一般的になってきたとはいえ、まだ会社を辞めるのにネガティブな印象は根強く残っています。「成果も残していないのに辞めるのか」「後任が見つかるまで退職は認めない」「迷惑をかけるのだから残りの給与は払わない」など、心ない反応をされた人も珍しくないはずです。実際に、転職サービスのワークポートが行った調査で、「退職時に会社からの引き留めにあった」と回答したのが6割以上。そのうち2割近くが、嫌がらせやパワハラといったトラブルにまで発展していたと回答していました。
最近はコンプライアンスの意識がだいぶ進んできたので、仕事上のパワハラは改善されてきているようですが、退職者に対するハラスメントは、そもそも辞める人だからという理由で、会社もあまり取り締まりに力を入れません。退職ハラスメントを受けている人も、もうすぐ辞めるのだからと、最終日までただひたすらその嫌がらせや心ない言葉に堪えるのみ。「退職代行」といったサービスが流行る背景には、このような退職ハラスメントといった悪しきカルチャーがあることも大きく影響しているのではないでしょうか。
退職日は誰が決める?
仕事を辞めたいのに退職を認めてもらえず、退職できないことを「在職強要」といいます。前述の調査結果にある通り、「在職強要」がデータとしても頻発しているのは事実。辞める後ろめたさから、なかなか強く「いつまでに辞めたい」と言えない場合も多いと思いますが、法律上、退職は働く側の意思で自由に決められるものです。
雇用契約期間が定められている場合は、基本的に期間終了まで退職できませんが、「やむを得ない事由」などがあれば、契約期間中の退職も認められます。期間の定められていない一般的な正社員なら、原則として2週間前に退職の申し出をすれば良いのです。もし2週間も退職ハラスメントに耐えられないとなった場合は、極論、2週間を有給消化の期間または欠勤として、会社に行かないという選択肢もあります。いずれにしても、いつ退職するかは働く労働者の意思が尊重されます。
守るべき退職マナー
法律上、退職のタイミングは労働者側の意思が尊重されますが、だからといって好き勝手に振舞っていいわけではありません。退職時のトラブルや退職ハラスメントにならないよう、周りの迷惑とならないような最低限の配慮が大切といえます。退職する個人的な事情はあると思いますが、以下の3点は守るように注意してください。
退職の意思はまず直属の上司に伝える
直属の上司に伝えるのが最低限のマナーです。同僚など話しやすい人にどんどん話して、直属の上司は別の人から伝え聞いたということにならないように注意しましょう。
退職の2ヶ月前を目処に伝える
法律上は2週間(会社によって規定を設けているところもあるので要確認)ですが、後任などの調整もありますので、なるべく余裕を持って伝えるほうが迷惑をかけずに退職できます
不満ではなく、感謝の気持ちを
仮に、不満があったとしてもそれを伝えてもお互い嫌な気持ちしか残りません。退職日まで気持ちよく過ごすためにも、退職するという気持ちと、これまでの感謝の気持ちをストレートに伝えましょう。
退職ハラスメント、その後に起きること
「自分は辞めるから」「もうすぐ辞める人だから」と、終わりの見えている関係と思ってお互い雑になりがちな退職時のコミュニケーションですが、絶対に退職ハラスメントなどあってはなりません。
インターネットでいくらでも個人が発信できる時代ですので、ハラスメントをした会社は、一気にブランドを落とすことにもなりかねません。あまりに不当な対応の場合、労働基準監督署や弁護士といった第三者を通して通告を受けることにもなるでしょう。
退職する側も引き継ぎが雑、お客様の対応も中途半端など、あまりにひどいと逆に法的に訴えられる可能性もゼロではないです。何より、ビジネスの世界はどこかでつながっているもの。いつどこでまた一緒に仕事をするとも限りませんので、気持ちよく再会できる別れ方を心がけたいものです。
おすすめ関連記事:人材不足が深刻化するIT業界でニーズの高い分野とは?
おすすめ関連記事:「ジタハラ」が急増中! 防止のために企業ができる対策とは?