世の中には、ビジネスマンの思考整理などをサポートするさまざまなフレームワークが存在します。しかしフレームワークの種類が多いこともあり使い方がいまいち分からず、上手く活用できていない方も多いのではないでしょうか。
業務改善に関しても、さまざまなフレームワークが提供されています。各フレームワークの意味や使い方が分かれば、今すぐにでもフレームワークで業務改善が可能です。
今回は業務改善を効率化できるフレームワークを、5つご紹介していきます。
BPMN
「BPMN(Business Process Model and Notation)」は、「ビジネスプロセスモデリング表記法」と訳されるフレームワークです。コンピュータ業界に関する団体である「OMG(Object Management Group)」が標準化を進め、「ISO19510」で登録されている世界的に通じる手法になります。
BPMNは、業務プロセスを可視化して課題点などを発見するためのフレームワークです。
基本はフローチャートと同じ形式で図形、矢印などを使い、業務プロセスの遂行順番や関連性、担当者などを可視化していきます。使われる図形は場合によって分かれますが、
・タスク
・開始
・終了
・中止
・注釈
などプロセス内容に応じて細かく使い分けながらフローチャート図を制作していくことも可能です。
業務プロセスは企業内で複雑に入り組んでおり、部門内ですらお互いの作業内容がよく分かっていない状況も珍しくないでしょう。そのような状況が続くと作業連携時に内容すり合わせに関して時間が掛かったりしますし、非効率な業務をいつまで経っても同じ方法で遂行しようとしてしまいます。
BPMNにより業務プロセスを見える化し無駄な業務プロセスや連携不足などの課題を発見できれば、スムーズに改善点を戦略に落とし込めます。落とし込んだ後はまたBPMNでフローチャート図を作り、改善が上手く機能しているか把握できます。
ただしBPMNを人の手で行うには、膨大な時間と手間が掛かります。そこで現在は、BPMNをサポートする業務可視化ツールや「BPM(Business Process Management)」ツールなどが続々登場しています。
ロジックツリー
「ロジックツリー」は、私たちの普段の生活でも役立てられる汎用性の高いフレームワークです。論理(ロジック)を樹形図状に展開して、内容を拡大させていきます。
たとえばビジネスの場面では、問題の原因解決の際にロジックツリーが使われます。
商品やサービスの売上が落ちた場合は、
・商品の売上が前年度と比べて落ちたが、考えられる原因は果たして一体何か
↓ ↓ ↓
・競争に負けている ・料金が高い ・品質に問題がある
↓ ↓ ↓
・宣伝不足など ・低コストの代替商品登場など ・不良品の増加など
というように各トピックから関連する内容をどんどん広げ、多角的に原因を分析していきます。
ロジックツリーを記述する際は、各階層のレベルを合わせる必要があります。たとえば価格、質、量という項目といっしょに、(味が)まずいという項目があるといけません。この場合まずいは、質の下に来る必要があります。
ロジックツリーは、単に問題の原因解決だけに使うものではありません。目的を達成するための手法の抽出など、論理的にものごとを考えたい場面全般で使えます。
KPT
業務を振り返り改善点を見つける際よく使われるのが、「KPT」です。
KPTでは、振り返り内容を
・Keep・・・よかったのでこれからも続けていきたいこと
・Problem・・・悪かったので、問題点として改善を行いこと
・Try・・・KeepやProblemを踏まえて、これからやりたいこと
の3つに分けて整理していきます。
たとえばRPA導入後の成果振り返りの場合は、
・Keep・・・データ入力などの定型業務が自動化され、コストがカットされた
・Problem・・・現場のスタッフが操作に戸惑うなど、RPAになれていない場面が見られた
・Try・・・研修やセミナーなどを活用し、RPAに対する社員スキルを上げていきたい
というように整理・分析ができます。
項目が3つのみとシンプルなことから細かい分析には不向きですが、各観点から簡単に業務内容を整理・可視化できるのがメリットです。ただし長時間KPTで業務を整理しても無駄な内容が追加されてしまい意味がないので、重要な内容が出そろったらいったん作業を切りましょう。
バリューチェーン分析
「バリューチェーン分析」とは商品やサービスの付加価値をチェーン状にして整理し、自社の強みや弱みを可視化できるフレームワークです。
・主活動(サプライチェーンと似ている)・・・購買物流や製造、販売など
・支援活動(主活動を支援する活動)・・・調達や技術開発など
の2つに企業活動を分け、どこで価値が発生しているのかを可視化していきます。
バリューチェーンにはさまざまな書き方があり、業種ごとに必要なプロセスを書き足しながら作成します。たとえば通信サービスプロバイダーであれば、システム構築やカスタマーサポート提供を付け加えるといった感じです。
各レイヤー(プロセス)ごとに他社と自社のバリューチェーンを比較し、自社はどのレイヤーで付加価値をつけられているか、そしてどのレイヤーでは差をつけられているかなどを分析して業務改善へつなげられます。特に重要なレイヤーはさらに細かいレイヤーに分け、細かいレイヤーごとに比較を行ったりもできます。
またバリューチェーン分析では、レイヤーごとにどれくらいのコストが掛かっているかも可視化できます。無駄な部分が分かればその部分のコストを削減し、総合的な商品やサービス販売による収益向上にもつなげられます。
ECRS
「ECRS(イクルス)」とは、効果の高い順番に効率よく業務改善手法を考案していくためのフレームワークです。
ECRSでは
・E(Eliminate)・・・無駄な業務などを取り除く
↓
・C(Combine)・・・連続して作業が可能なプロセスなどをまとめ、業務を効率化する
↓
・R(Rearrange)・・・プロセスの順番や人員配置の変更などによる業務効率化を狙う
↓
・S(Simplify)・・・作業プロセス自体を単純化し、無駄をなくしていく
と、上から下へ各内容を検討することで業務改善を実現します。
効果の大きい順から小さい順に整理しながら改善を行っていけるので、効率的な業務改善が可能です。またカテゴリごとに分けて業務改善施策を実行できるので、無駄な施策の被りなどもなくせます。
企業では新しい活動も続々加わり、業務内容も変わっていくでしょう。企業としてはECRSを必要なたびに実行し、業務改善を冷静に実行するとよいでしょう。
まとめ
今回は、業務改善を効率化するフレームワークを5つ厳選してご紹介しました。
フレームワークを使えば無駄な思考をなくし、効率よく業務改善点を洗い出して施策を練れるようになります。フレームワークは一度使えば終わりではなく、必要なたびに実行する必要があります。必要に応じて今回ご紹介したフレームワークを使い分け、業務改善に役立ててください。
また「PDCAサイクル」など、業務改善に役立つフレームワークは他にもあります。フレームワーク活用になれてきたらぜひ他フレームワークも組み合わせながら、さらに効率のよい業務改善を目指してみてください。
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