リモートワークのシェアは、日々拡大中です。市場調査で有名な「ガートナー」は、2020年は一般企業で働く従業員の半分以上が一定期間リモートワークを行うだろうと公表しています。
2016年20%と比較すると、実に4年で2.5倍ほどの急成長を遂げるほど勢いづいています。
そして2020年度は、「コロナウイルス(COVID-19)」蔓延により今までリモートワークを考えていなかった企業でもリモートワーク導入を真剣に検討するケースが増えていくでしょう。しかし急激にリモートワークが進んでいく中、日本国内でもさまざまな問題が発生しており対策が求められています。
今回はコロナウイルス蔓延に伴うリモートワークの現状を知りたい方向けに、リモートワークの動向を最新データとともに分かりやすくご紹介していきます。
目次
非常時対策目的でのリモートワーク導入率は、15.1%ほどに上る
非常時対策目的でのリモートワーク導入率は、15.1%ほどに上る
総務省が提供している「平成 30 年通信利用動向調査の結果」には、
・世帯のスマホ保有割合が約8割と、固定電話の約6割を上回る
・利用目的は違うが、個人・企業ともにSNSを活用する割合が増えている
・IoTやAIなどの最新ITを導入済・導入検討している企業は約2割
など、個人・企業にかかわらず通信に関するさまざまな重要データがまとめられています。
その項目の中に、「5 テレワークの導入状況等」が記載されています。
平成30年度においてリモートワークを導入済み、または導入検討している企業の割合は、全体の約26%ほどに上りました。産業別にリモートワーク導入率を見てみると、伸びしろに違いはありますが全体的に平成29年度より着実に伸びています。
またリモートワークの導入目的として、「非常時(地震、新型インフルエンザ等)の事業継続に備えて」と回答した企業が約15.1%になっています。非常時に事業を継続し、収益や社会的信頼などに対する悪影響を防ごうと思っているであろう企業も一定数存在するのが分かるデータです。
新型コロナウイルスとは
従来もイレギュラーな事態に備えるためリモートワークを導入する企業は存在しましたが、2020年度になってその流れはさらに加速しそうです。一番の原因となるのが、新型コロナウイルスです。
新型コロナウイルスは正式名称をCOVID-19と呼び、2019年12月中国武漢で最初の感染が確認されています。特にお年寄りなど免疫の弱い方が掛かると死亡につながる可能性もあり、2020年3月26日時点で世界中40万人超の方が感染している危険なウイルスです。
イタリアでは7,000人以上が死亡確認されており、生活必需品以外の全産業が停止するなど大きなダメージを受けています。その他アメリカや感染が初確認された中国でも、産業に大きな影響が出ています。
日本でも2020年1月に武漢帰りの男性からコロナウイルスが発見されてから、徐々に感染者が全国に広まっており大変な状況です。ドラッグストアやコンビニなど業種形態にかかわらず、あらゆる小売店からトイレットペーパーやマスクなど衛生用品がなくなる事態にまで発展しています。
特にマスクに関しては2020年3月時点で生産が追いついておらず、マスクをしたくてもできない方が多くいらっしゃるのも大きな問題となっています。
コロナウイルスに対する各企業の対策
コロナウイルスの蔓延は、リモートワーク導入企業を増やす結果にもつながっています。日本では最初からリモートワークを導入していたところも多い大企業だけでなく、中小企業も率先してリモートワークを推奨しコロナウイルス感染防止を図っています。
リモートワークノウハウがある企業は、インターネット上で資料を無料配布したり電話相談に乗ったりと、さまざまなサポートを行っています。「リモートワークを進めたいが、注意点などを詳しく知りたい」という方は、ぜひサポートを使用してみてください。
コロナウイルスに関する企業現状を細かくデータで紐解く
文書電子化クラウドサービスなどを展開する「ペーパーロジック」では東京在住の会社員であり、実際にリモートワーカーとして勤務している111人を対象にアンケートを取り、2020年3月に結果を公表しました。
全体の86.4%がリモートワークを推奨され、96.4%が普及を望んでいる
新型コロナウイルスの問題が起き、あなたの会社ではリモートワーク・テレワーク推奨されましたか?
という質問に対し、全体の約86.4%が「推奨された」と回答しています。
また
あなたの勤務先で、リモートワーク・テレワークが今後進んで欲しい
と回答した人は、全体の約96.4%に上っています。
・多様な働き方推進の必要性を感じるから
・不測の事態に備えて柔軟な対応ができるよう準備する必要があるから
・交通費が抑えられるから
などの理由が寄せられており、さまざまな理由からリモートワーク普及を望んでいる方は多いのが分かりました。
コミュニケーションが難しいなど、さまざまな課題も顕在化する
今回の調査では、リモートワークにおけるさまざまな課題も顕在化しています。
あなたの勤務先では、リモートワーク・テレワークの課題はどのようなものがあると感じていますか?
という質問に対して、
・対面でコミュニケーションが取れない分、やり取りが難しい・・・45.9%
・書類に勤務先ハンコを押印したい際、上司の承認・決裁が取りにくい・・・28.8%
・ツールが整備されておらず、作業が非効率になっている・・・24.3%
・Wi-Fiやパソコン環境などハードウェア関連の設備が不十分・・・・21.6%
・リモートワークに関する運用体制がそもそも整っていない・・・21.6%
・評価体制に関して、不安を持っている・・・13.5%
などの回答がありました。
リモートワーク実施の上で想定されるトラブルケースが、現実になった形です。
・対面でコミュニケーションが取れない分、やり取りが難しい
という課題は、
・ツールが整備されておらず、作業が非効率になっている
という課題を解決すると同時解決する可能性があります。
非対面でのコミュニケーションを円滑化するには、Web会議ツールなど各種ツールの整備が必要不可欠だからです。
・リモートワークに関する運用体制がそもそも整っていない
という回答には、コロナウイルスに対して急場しのぎでリモートワーク体制を構築した結果、運用体制が不十分なままリモートワークを実施した企業の方も含まれていそうです。
・評価体制に関して、不安を持っている
という回答は、直接作業風景を確認しにくいリモートワークにおいて成果主義が評価基準になりがちな現状を反映しているものと思われます。
今回コミュニケーションの難しさとともに大きな課題として浮き彫りになったのが、
・書類に勤務先ハンコを押印したい際、上司の承認・決裁が取りにくい
という課題です。
日本はハンコ文化が浸透しており、書類にはハンコを押して承認を得るのが普通です。
しかしリモートワークの場合会社印などは流石に持ち帰れないので、押す必要がある場面ではわざわざ会社に立ち寄ったりなどの手間が掛かる可能性があります。またいちいち書類を印刷してハンコを押すのは、非効率でもあります。
今回課題を感じていると回答した全員に
今後、勤務先でのハンコが電子化し、電子承認のフローとなることを求めますか?
と質問したところ、約88.6%が電子化を望むと回答しました。
ハンコ押しなど一部の作業がアナログのままリモートワークを実施しても、効率化できる部分に限界があります。ハンコに限らずアナログな部分はなるべく電子化してインターネット上で完結できる作業体制を整えるのも、リモートワーク導入時に押さえておきたいポイントとなるでしょう。
まとめ
今回は新型コロナウイルスにおける、企業のリモートワーク導入の現状などを解説しました。
従来もリモートワーク普及は徐々に進んできましたが、COVID-19と名付けられたコロナウイルス蔓延により導入の流れが加速しています。そして導入に関して、課題などの有用なデータも発表されています。
ぜひコロナウイルスなどトラブルに対応できるよう、継続的に安心してリモートワークできる就業体制構築を検討してみてください。