インターネットの普及によりさまざまなものがデジタル化され、ビジネスでもデジタル化の流れは広がっています。将来的にデジタル化した企業とデジタル化していない企業の差はさらに広がり、競争優位性を決定する際の重要な要素になっていくでしょう。
あなたの会社をデジタル化して最終的に「DX」化するには、先進の企業からDXのノウハウを学ぶことも重要です。
今回はDXに関して悩みを持っている方に向けて、DXに成功している企業事例をDX化に成功するポイントといっしょに解説していきます。
目次
企業そのものをデジタルに!DX(デジタルトランスフォーメーション)とは</a
企業そのものをデジタルに!DX(デジタルトランスフォーメーション)とは
DXとは「Digital Transformation」を略した言葉であり、「デジタルトランスフォーメーション」と日本語では表記されます。
デジタルをベースに企業が商品やサービスを提供することを「デジタライゼーション」と言いますが、DXではさらに上の段階に位置します。具体的には商品やサービスに限らず企業体制や企業文化といったものも丸ごとデジタル化し、会社のすべてがデジタルで回るような状態を築き上げることがDXです。
ちなみにこれはビジネス範囲に限った狭義のDXであり、広義のDXは「ITによって人々の暮らしが根底から変わってよくなっていく」ような状態を指します。企業が狭義のDXを実現すれば広義のDXにもつながっていくでしょう。
DXに成功している企業事例5社分を一挙ご紹介!
ここからは、DXに成功している企業事例を5社分まとめてご紹介していきます。
・Microsoft
・Amazon
・Spotify
・三井住友銀行
・ソフトバンク
Microsoft
Microsoftはコロナ禍で「Xbox」売上が伸びたりと、順調な成長を見せています。一般消費者が使っている「Windows」は今やインフラとして機能しており、地盤は盤石と言えるでしょう。
Microsoftは企業体制を大きく見直して、各サービスをクラウドベースに移行するという戦略を打ち出しました。Microsoftにおいては当時Officeの代替製品が登場して、地位が脅かされているのが問題となっていました。
クラウド化によりたとえば今まではパッケージソフトウェアとして発売していたOffice製品をクラウドサービスとして提供できるようになり、月額で安定した収益が見込めるようになっています。利便性も向上し、クラウドサービスの契約中は従来のパッケージタイプと違いアップデートを自動で受けられるようになっているのもポイントです。
結果的にユーザー増加に成功して、2019年にはMicrosoft時価総額は1兆ドルに到達しました。
Amazon
「Amazon」は今やネットショッピング大手となっており、ドローンやサーバー事業といったさまざまな分野で活躍しています。「GAFA」として「Google」、「Apple」、「Facebook」とともにアメリカを代表する世界的な企業として名前を呼ばれるようになりました。
Amazonはもともと書籍を中心に取り扱うネットショッピングサイトでしたが、創業当時はビジネスモデルが斬新である分どうやってユーザーを獲得していくのかが課題となっていました。そこで「ユーザーファースト」の観点から、おすすめ商品の紹介やレビューの表示といったユーザーの役に立つ機能を次々とサービス内に実装しています。また機械学習を活用して、ユーザーが注文するであろう商品を付近の倉庫へ配置するといった工夫も行いました。
結果的にユーザー目線の機能追加によってユーザーは増加し、今では書籍に限らず日用品や生鮮品なども取り扱う大規模なネットショッピングサービスへと成長を遂げています。
Spotify
「Spotify」は音楽聴き放題サービスであり、月額で好きなだけ曲を流せるサービスとして日本でも定着しました。
Spotifyも創業当時Amazonと同じように、音楽をネットで聴き放題であるというサービス形態が新しくて定着しないという課題がありました。そこで制限付きの無料プランを開放しながら、月額定額制のサブスクリプションモデルを導入してユーザーの引き込みを狙いました。同時におすすめの曲を提示するといった機能も追加してユーザーの利便性向上にも力を入れています。
結果的にどのデバイスでも同じ音楽体験ができるようになり、日本を含め世界中にファンのいる代表的な音楽配信サービスへと成長しています。
三井住友銀行
メガバンクの「三井住友銀行」は、顧客の声をデータとしてまとめる課題を抱えていました。メガバンクという特性上大量のデータが集まる分、人力でデータ処理を行うには膨大な時間が掛かるからです。
そこで「NEC」の力を借りてテキスト認識技術を活用し、自動で顧客の声の内容を判別してグループ分けするというシステムを導入しました。
結果的に正確なデータ処理ができるようになった上、業務効率化だけでなく人の目では気づけない知見を獲得するのにも成功しています。
ソフトバンク
携帯電話事業者としてだけでなくさまざまなIT分野で活躍する「ソフトバンク」は、コールセンター部門に課題がありました。警察署から携帯電話の落とし物通知依頼が大量に舞い込み、転記業務に時間を取られていたのです。コールセンター業務自体が圧迫されており対応に迫られています。
そこで導入している社内ネットワークシステムと連携できる、「AI-OCRサービス(人工知能により文字スキャンの認識機能を向上させたシステム)」を導入しました。そして「RPA(ロボットプログラムによる業務自動化ができる技術)」も活用しながらセキュリティを確保した転記作業自動化を行っています。
最終的にオペレーター1人で転記作業を完了できるようになり、月200時間業務が削減されました。
DXに成功するためのポイント
DXに成功するためには、次のポイントに注目しましょう。
・DXを理解して推進できる人材を配置する
・社内全体でDXに関する理解を深める
・DXがどこまで進んでいるかをデータ化して把握する
DXを理解して推進できる人材を配置する
DXを推進するためには、中核となる人材が必要です。DXを進めたくても具体的な知識やノウハウがないと実現はできません。人材を中心に改革を進めていくことで確実なDX化が実現できます。
場合によっては他企業からのサポートも受けながら、DXを推進していく必要があるでしょう。
社内全体でDXに関する理解を深める
DXは会社全体をデジタル化することです。つまり社内リソースがデジタル化について理解してDXの必要性を認識できなければ、改革は失敗に終わってしまいます。
企業体制や価値観といった要素がDXの邪魔になるのであれば、柔軟に変更していく必要があります。そして
・なぜDXを進める必要があるのか
・DXによりどんなメリットがあるのか
といった内容を社内で提示して、一人一人がDXについて考えられるように教育を行っていきましょう。
DXがどこまで進んでいるかをデータ化して把握する
自社でDXを進める場合は、社内のDX現状について理解する必要もあります。団体が提供している診断サービスを利用すると自社のDX進み具合の判断材料が獲得できます。
IPAの「DX推進指標 自己診断結果入力サイト」にアクセスして診断データを入力すると、6段階のレベルでDX進捗具合が可視化されます。
・レベル0:未着手
・レベル1:一部での散発的実施
・レベル2:一部での戦略的実施
・レベル3:全社戦略に基づく部門横断的推進
・レベル4:全社戦略に基づく持続的実施
・レベル5:グローバル市場におけるデジタル企業
診断した各社のデータも閲覧できるので、自社が他企業に対してどのくらいDXを進められているのかも判断できます。一度利用してみてください。
まとめ
今回はDXに成功した企業の事例や、DX化に成功するポイントなどを解説しました。
MicrosoftやAmazonなどの有名な大企業も課題を抱えており、DXによって解決してきました。あなたの会社でもDX化を行えば、慢性的な課題を解決するきっかけになる可能性があります。
ぜひ事例も参考にしながらDXを着実に進めてみてください。