新型コロナウイルスの蔓延で、どんな状況でも事業を継続できる企業体制作りが重要になっています。事業継続性の高い企業体制を実現するには、「DX(デジタルトランスフォーメーション)」を推進していく必要があります。
DXにはさまざまな技術がかかわっており、理解できるとDXの意味もより深く理解できるようになるでしょう。
今回はDXについてより深く知りたい方向けに、DXに活用される代表的なIT技術をご紹介していきます。
目次
2025年以降DXを実現できないと最大13兆円の損害が発生、生き残りも厳しくなる
2025年以降DXを実現できないと最大13兆円の損害が発生、生き残りも厳しくなる
経済産業省は企業のDX化を推し進める取組の一環として、「DXレポート」を発表しています。DXレポートでは
・多くの経営者がDXの必要性については理解している
・しかし社内全体でのデータ共有が難しかったりシステムがブラックボックス化されたりしている
・経営者がDXを希望しても経営改革が必要で、現場での抵抗も大きい
・課題が解消されない限り、2025年以降最大12兆円の経済損失が生じる可能性がある
としています。
12兆円というのは現在の経済損失の約3倍に該当する数値で、企業がDXに取り組めないと社会全体に影響が及んでしまう危険性があるのがポイントです。
またデータ共有の実現やシステムのブラックボックスの解消は、業務効率化のために必要な取組です。改革に取り組めずにいるとシステム維持費といったコストがどんどん膨らみ、経営を圧迫するようになります。また最新のデータを効率よく業務に活用できる仕組みを作らないと施策立案や製品開発といった観点からもプロセスが遅れ、他社に差を付けられてしまう要因となります。
DXの実現は企業が生き残るためにも必要です。
【IoTやAIなど】DX推進の鍵となる代表的な技術をご紹介
ここからはDX推進の鍵となる代表的な技術をご紹介していきます。
・クラウドサービス
・IoT
・AI
・ビッグデータ
・RPA
・5G
・AR
・VR
クラウドサービス
外部にあるクラウドサーバーを活用してサービスを利用する形態です。クラウドサービスを利用すると
・好きな場所でいつでもサービスにアクセスできる
・情報共有が簡単になる
・導入費用が安い
といったメリットがあります。
今まで大企業でしか導入できなかったようなシステムを、中小企業でもコスト面で導入しやすくしたという面でも功績の大きい技術です。クラウドサービスはスムーズに導入から稼働までが完了しますし、リモートワークの実現にも役立ちます。
IoT
「IoT」は「モノのインターネット」と訳され、あらゆるモノがインターネットに接続して私たちに価値をもたらしてくれる概念を指します。
IoTは新しいビジネスの創出と関係が深い技術です。今までデータ化が難しかった現実世界の事象をデータとして取り込み、処理を行うことでユーザーにサービスを提供可能です。
たとえば自動運転の分野では、IoTが積極的に活用されています。IoTセンサーで道路状況を把握して適切なルートを走行したり、障害物を感知してスムーズに避けるといった使い方が想定されています。
AI
「AI(人工知能)」はIoTで収集したデータを活用するために必要な技術です。IoTで収集されたデータはビッグデータとして蓄積され、AIで処理が行われます。AIが人間に代わって処理を担当することで、人間の手では扱えないビッグデータを効率よく活用できるようになります。
AIは昔から研究されてきた分野ですが、発達したのは機械学習が進化したからです。人間の学習構造を真似た「ディープラーニング(深層学習)」の登場により、効率よくAIに学習を行わせて賢く鍛えられるようになっています。
AIは
・画像認識
・音声認識
・言語認識
といったさまざまな認識技術でも活用されており、ビジネスモデルを変革できる可能性を秘めていることからDXの貢献度も高いです。
RPA
RPAは「ロボットプログラムにより業務プロセスを自動化するための技術」であり、国内外でさまざまなRPAツールが発売中です。
・インターネット上での情報抜き出し
・定型的な書類の作成
・メール配信
といったホワイトカラーに関する各業務を自動化してくれます。また企業によってはロボットアームをRPAと組み合わせて、RPAソフトウェアだけではできない物理的な作業を自動化している事例もあります。
将来的にはAIを組み合わせて業務改善の提案や意思決定などができるようになるとされており、DXの実現度も現在よりさらに高まるでしょう。
5G
「5G(第5世代移動体通信技術)」はスマホなどに使われる移動体通信技術の新しい規格で、既存の4Gと違って
・超高速である
・遅延が少ない
・大多数接続が可能
といった点で大きな違いがある技術です。
現在5Gと言われて提供されているサービスは、「ノンスタンドアローン方式」といった既存の4G設備を利用しています。その分スペックは本来のものとは言えず、4Gと大きな違いを感じられない可能性もあるでしょう。
しかし専用の設備を使った「スタンドアローン方式」の整備計画も進んでおり、普及した際は本来の5Gのスペックを発揮できるようになります。5Gが本格的に運用されればスマホ通信が便利になるだけでなく
・遠隔操作で治療ができるようになる
・自動運転でスピーディーなリアルタイムの走行が実現する
といったように各産業にも大きな影響を与えDXの推進にもつながるでしょう。
AR
「AR(拡張現実)」はゲームコンテンツでよく使われてきた技術ですが、現在ではビジネスでの応用も進んでいます。
・ARゴーグルで指示内容を出して作業をスピーディーに進める
・倉庫内の商品をARで可視化して、箱を開けなくても見られるようにする
・ARで建設現場の施行後映像を合成して確認しながらの作業を行う
といった使われ方がされています。
ARの立体映像合成技術は、既存のビジネスモデルに新しい価値を加えDXを進めていくにはピッタリな技術です。
VR
「VR(仮想現実)」はARよりも大量の処理が必要でしたが、ハードウェアやソフトウェアの進化により身近でも気軽に使えるようになってきました。VRもARと同様ビジネスでの活用が進んでおり、
・VR会議を行いリアルに近い触れ合いを行いながら話を進める
・VRで物件の内覧ができるようにする
・VR内で接客の研修を行う
といった活用がされています。
VRを使うと従来ビジネスで不可能だったことが実現するので、ビジネスモデルを変革させて新しい価値をユーザーに提供する際役立つでしょう。
社内体制を整えながら技術を取り入れ、DXを進めていこう
DXにおいて代表的な技術は、活用できれば大きな価値を自社にもたらしてくれるでしょう。ただし技術を導入するだけでなく、それを基にビジネスモデル引いては組織全体や社風などを改革できるかもDXでは重要です。
まずはなぜDXを行うのか目的を決めて、それに沿った計画を立てて必要な技術を導入していきましょう。社内全体で一丸となりDXへ進んでいけるように環境を作っておく必要もあります。
まとめ
今回はDXの必要性や、DXに関係する代表的な技術などをご紹介しました。
IoTやAIといった各技術は、ビジネスモデルを刷新してDXを実現していくのに今後ますます重要な技術になっていくでしょう。気になった方はぜひ自分でも各技術の詳細を調べてみてください。
またDXを行う際は積極的に改革のできる組織作りも行いましょう。