ビジネスでは現在「DX(デジタルトランスフォーメーション)」に注目が集まっています。DXは政府が推進しており、企業としては早急に対応できないと大きな経済損失を招いてしまう危険性があります。
DXを実現するにはさまざまなデジタルツールを駆使する必要がありますが、「RPA(ロボットによる業務自動化技術)」もDXに貢献するツールです。RPAをDXに活用できるよう、具体的な活用方法を事前に理解しておきましょう。
今回はDXとRPAの関係性について理解した方向けに、DXの三段階やRPAがDXにもたらす影響などをご紹介していきます。
目次
業務の強化からプロセス構築まで!DXに至るまでの三段階を解説
DX成功の鍵にもなる!RPAを業務で上手く適用させる方法を解説
業務の強化からプロセス構築まで!DXに至るまでの三段階を解説
まずはRPAとDXの関係性を説明する前に、関連のあるDXの三段階について解説していきます。DXが実現するまでには、次の三段階があると言われています。
①ITを導入して業務を強化する
②ITを活用して業務を自動化し、生産性を向上させる
③ITと業務が影響を与え合い、最適な業務プロセスが構築される
①ITを導入して業務を強化する
DXにおいてはまず改革の基盤となるITシステムを導入して、業務を強化する必要があります。この段階にはたとえば紙の伝票の受け渡しをシステム上でデジタル化して、効率化するといった変更が該当します。
現在では
・勤怠管理システム
・生産管理システム
・会計システム
といったさまざまなシステムが販売されており、業種によって導入するシステムも変わってくるのがポイントです。適切なITシステムをまずは導入して、業務に最低限使えるようになるまでに体制を整えましょう。
②ITを活用して業務を自動化し、生産性を向上させる
ITを導入して使えるようになった後は、さらにITシステムの活用体制を強化していきます。具体的にはITシステムにより業務を自動化して生産性を向上させていきます。
ITシステムを使っていても、人間が作業を行っている限りは
・労働時間の制約
・安全管理の不備
・入力ミスといったエラー
などは発生するのがネックです。そこでできる部分はシステム自動化を行い、機械的に処理できるようにすることで課題を解消していき生産性を向上させます。
ITシステムならば労働時間の制約は関係なく24時間365日対応可能ですし、安全管理においても正確性が高いです。またプログラムでミスをしていなければ入力ミスといったエラーがなくなります。
ただし作業を自動化する際は、事前にプログラム内容を確認した上で検証を行いましょう。検証を行わず焦って導入すると、返ってトラブルの元になり手間が増えることになるので注意してください。
③ITと業務が影響を与え合い、最適な業務プロセスが構築される
最後のプロセスでは、ITと業務の影響を強めた上で連携ができるように体制を整えていきます。
具体的にはまず、あらゆる業務プロセスをデータ化していきます。「IoT(モノのインターネット)」により、現在ではインターネットを介さない現実世界の業務プロセスもデータ化できるようになっているのでデータは膨大です。そして収集したデータを「AI(人工知能)」によって解析して、ビジネスの最適解を導き出します。
導き出された最適解は各設備の制御に使われたり、従業員に提示されて活用されたりします。そして業務プロセスをアップデートした後はまたデータを収集してAIで解析を行い、また改善を行っていくのがポイントです。
IoTやAIなども活用してITと業務の連携サイクルを作り出すことで、自然とデータ基盤で業務体制が回るようになっていきます。そして最終的には組織体制や企業文化なども変革していけば、完全にDXが完了します。
RPAは、第一段階と第二段階に影響を与える技術である
三つあるDXへの転換プロセスの内、RPAが影響を及ぼすのは第一段階と第二段階です。
RPAは業務内容をプログラミング化して読み込ませることで、内容どおりに実行してくれます。RPAにより
・伝票の作成
・メールの配信
・データベースに各データを登録する
といった作業が自動化されて従業員が定型的な作業から解放されます。そして確保できた時間はより重要性の高い業務へ回せるようになるので結果的に生産性向上につながるのがポイントです。
RPAは第二段階の業務自動化において中心的な役割を果たしてくれます。
また最近では第一段階にもRPAの影響が及んでいます。具体的にはRPAと「OCR(光学文字認識技術)」を組み合わせて活用すると、OCRで読み取ったデータをRPAが自動処理して振り分けてくれるようになるので便利です。また読み取ったデータをメールに添付して送信といった操作もプログラムを組めば可能になります。
RPAは自由度が高く、万能ではありませんが工夫次第で大きな生産性向上に貢献するでしょう。ただしRPAを活用してもDXまでには行きつけません。DXを実現するにはRPAといった各デジタルツールを活用した上で、ビジネスモデルや組織体制、企業文化などを従来から変化させて新しくしていく必要があるからです。
DX成功の鍵にもなる!RPAを業務で上手く適用させる方法を解説
DXを成功させるには、RPAを上手く業務に適応させていく必要があります。ここからはRPA導入から普及までを成功させる方法をご紹介していきます。
・現場からRPAに関するアイデアを発案してもらう
・技術の癖など細かい部分を把握した上で業務に適用する
・RPAの適用範囲を拡大させて、業務効率をさらに向上させる
現場からRPAに関するアイデアを発案してもらう
パソコンでできる作業は複数あり、その分「担当者が具体的にどうやってパソコン内で作業しているのか分からない」という場合もあります。現場から直接
・こんなことに使いたい
・この作業に時間が掛かって困っているので自動化したい
といったアイデアを発案してもらえれば、RPAの導入を正確にすすめられます。
またアイデアを発案してもらう際は、先行事例を紹介することも重要です。RPAについて初心者レベルの知識しかなくても、先行事例を基にアイデアを出しやすくなるからです。
技術の癖など細かい部分を把握した上で業務に適用する
RPAを実際に業務へ適用する際は、技術の癖といった細かい部分を把握した上で操作を自動化していく必要があります。
たとえばサーバー内で稼働するRPAでは動かせないシステムもあります。しかしパソコンに操作機器を変更すると動作する可能性もあるので、実際にテストしてみながら上手く自動化できないか考えると効率よくRPAの適用を進められるでしょう。
また細かいプログラムの変更をその場で行えるよう、ロボットの基本設定をデータとして共有すると便利です。データを確認すれば開発者がどういった設定を行っているかすぐ分かるので、それを見た従業員が設定を基に内容を変更して自分に適したロボットに簡単に変更できるようになります。
RPAの適用範囲を拡大させて、業務効率をさらに向上させる
RPAはまずスモールスタートさせて効果を計測するのが一般的です。効果が見込めると判断したら適用範囲を徐々に拡大させて、業務効率をさらに向上させていきましょう。
たとえばある企業では、ロボットアームとRPAを組み合わせて伝票の挿入・取出し作業を人の手と同じように実行できるようにして業務削減に成功しています。またOCRといった他ITシステムとの組み合わせでも適用範囲は広がるのもポイントです。
自社が適用したい業務範囲に合わせて、機器やシステムをRPAと組み合わせてみてください。
まとめ
今回はDXの三段階やRPAがDXにどう影響するのかなどを解説しました。
DXの第一段階と第二段階において、RPAは大きな役割を果たします。RPAだけでDXが実現するわけではありませんが、業務効率化が成功するとDXに一歩近づけます。
RPAを導入する際は現場からアイデアを発案してもらったり、細かい業務の癖を考えながら上手く導入するといったポイントを押さえてみてください。