現在私たちの身近で、
・スマートスピーカー
・スマートロック
・スマート照明
といったさまざまな「IoT」デバイスが広まっています。IoTデバイスは私たちの生活を便利にしてくれるだけではありません。企業の「DX(デジタルトランスフォーメーション)」にもIoTは深くかかわっています。
今回はIoTとDXの関係性を知りたい方へ向けて、IoTの概要やメリット、そしてDXとの関係性などについてご紹介していきます。
目次
あらゆるものがインターネットに接続する!IoTとは
IoTとは「モノのインターネット」と訳され、「身の回りのあらゆるものがインターネットへ接続して利便性をもたらす概念や技術」の総称です。
調査会社大手の「IDC Japan」によると、国内のIoT市場は
・2019年:7.2兆円
・2020年:8.2兆円
・2021年:9.3兆円
・2022年:10.4兆円
・2023年:11.5兆円
・2024年:12.6兆円
と成長し、その年間平均成長率は12.1%となっています。
一般ユーザー向けにさまざまなIoTデバイスが発売されるようになっているのも、IoT市場の堅調さを物語っています。また農業や医療、自動車分野など各産業でもIoTは重要な役割を果たしています。
現実世界からデジタルへデータを送信可能!IoTのメリット
IoTを活用すると次のようなメリットがあります。
・現実の事象をデータとして処理できるようになる
・データを基に機器を遠隔操作できる
・AIも活用しながら操作を自動化できる
・モノ同士でデータを連携させた上でさまざまな操作ができる
現実の事象をデータとして処理できるようになる
IoTではセンサーを通して、
・温度や湿度はどうなっているか
・部屋の中に人はいるか
・天候はどうなっているか
といった現実の事象をデータ収集します。
そして収集されたデータはインターネットを通じて送信された後処理され、結果が機器に返信されます。
これにより
・位置情報システムと連携して落としたモノの位置をスマホから把握できる
・室内の温度や湿度などを基にエアコンの状態を調整する
・心拍数や呼吸などを管理して健康状態を計測する
といった処理が可能です。
従来デジタル技術はインターネット上でのみ活用されていました。インターネット上でもさまざまなデータを収集して処理ができましたが、集められるデータには限界があります。
しかしIoTにより現実の事象がデータ化され、ビッグデータとして蓄積されるようになりました。デジタル技術が実現できる処理の幅がIoTにより広まっています。
データを基に機器を遠隔操作できる
IoTを活用すればデータを基に人間が機器を遠隔操作できるようになります。
たとえば
・カーテンを閉め忘れていたのでスマホアプリから閉める
・ペットの様子をカメラで確認してエアコンを調整する
・照明をつけっぱなしで外出したのでスマホアプリからOFFにする
といった遠隔操作が現在可能です。
またビジネスにおいては
・自社で提供している空調機の遠隔監視を行う
・農作物の育成状況を調べて害虫が発生していないか確認する
・建設機材の遠隔制御を行う
といった用途でIoTの遠隔操作のメリットが活かされているのもポイントです。
IoTをビジネスで活用すると
・セキュリティ管理が強化される
・生産数を正確に把握できる
・人件費の削減が可能
といったメリットがあり、特に製造業では活用が進んでおり「IIoT(製造業でのIoT)」とも呼ばれています。
AIも活用しながら操作を自動化できる
IoTを利用すれば大量のデータをビジネスモデルの改善や創出などに役立てられます。ただしIoTで得られるデータは膨大であり、人間が処理するには時間も手間も掛かるのがネックです。
課題を解決するために活用されているのが「AI(人工知能)」です。AIは従来の人間のデータ処理を肩代わりしてくれます。そして最適解をIoTデバイスへ送り、正確な処理を実行してくれるのがポイントです。
・カメラから顧客の行動を分析してマーケティングに活用する
・センサー搭載のドローンで農作物の問題部分を検出して農薬を散布する
・自動運転において交通状況といった走行関連データを処理して適切な走行を行う
といったケースでAIが活用されています。
IoTとAIの組み合わせは政府が提唱している新しい社会の在り方「ソサエティ5.0」でも中核の技術として説明されており、相互連携により今後さらにまったく新しいビジネスモデルが登場することが予想されます。
モノ同士でデータを連携させた上でさまざまな操作ができる
IoTの強みは、データの連携性にあります。クラウド上でIoTセンサーで収集された各データを統合して、さまざまな操作を行うことができるのがメリットです。
・農作物の管理から販売までを一括してデータ化して、効率のよいプロセスを探す
・⾞両の積載量や荷物の容量などを検知して配送ルートを最適化する
・空間状況をセンサーで把握して3密を可視化、危険を未然に防ぐ
といった連携事例があります。
また収集されたデータはクラウド上に保存されるので、将来的にも資産として活用可能です。ただし活用には各データをクレンジング(加工)した後、指定フォーマットに沿ってデータベース化して管理をしていく必要があります。
データを単体で見るのではなく複数突き合わせて確認することで、従来見えてこなかった改善点が見えるようになります。またAIに処理を任せれば改善点の洗い出しを自動で行ってくれるので便利です。
IoTとDXとの関係性
IoTで収集されるデータは、DXにも強く関係してきます。
たとえばERPシステムやSCMシステムにおいてIoTデータを活用すると、
・リアルタイムに状況を判断して発注を管理できるようになる
・開発のサイクルが短縮され、効率よく生産できるようになる
・受注状態に合わせた生産が可能になる
・現場の状態がリアルタイムに分かる
・判断が迅速になる
といったメリットがあります。
IoTデータを処理できるようにする仕組み作りは必須ですが、活用できるようになると導入前と後でビジネスモデルは大きく変わるでしょう。IoTデータを自社システムと連携させて新しい価値を生み出し製品開発やサービス創出などを実現していけば、DXへ一歩近づくことが可能です。
DXにおいてはデータ活用を基盤として企業体制作りを行っていく必要があります。IoTで収集されるデータはDXの基盤となるデータとして高い価値を持っているのがポイントです。
またIoTデータを活用できていないという方は、今の内にデータ活用できる仕組みを作ってノウハウを蓄積しておきましょう。2025年は一つの節目とされており、2025年までに体制作りを行ってDXを実現できるかも鍵になるので注意しておきましょう。
まとめ
今回はIoTとは何か、そして利用するメリットやDXとの関係性などをご紹介しました。
DXはデジタルデータを活用していく仕組み作りが重要であり、基となるデータとしてIoTデータは高い価値を持っています。IoTデータを上手く活用してビジネスモデルを変革して、DXを実現できるかも今後企業にとって重要になっていくでしょう。
データに振り回されずに上手く分析を行い事業に活用できる体制作りを、今の内に構築しておいてみてください。