デジタルデータや技術の利活用によってビジネスモデルや組織文化などを変革していく「DX(デジタルトランスフォーメーション)」は、コロナウイルスで企業の柔軟性が求められる中重要になっています。
DXを進める第一歩は「ペーパーレス化」です。ペーパーレス化により書類を伴う作業がデジタル化されて無駄がなくなり、DX推進がしやすくなります。既存の書類は「OCR」を使いながらデジタル化していきましょう。
今回はOCRがDXに効果的な理由、そしてOCRサービスの選び方やおすすめのサービスなどをご紹介していきます。
目次
既存の書類をデジタル化できる!OCRサービスがDXに効果的な理由
対応している言語などを確認!DXに効果的なOCRサービスの選び方
無料と有料両方をご紹介!DXに役立つおすすめのOCRサービス5選
既存の書類をデジタル化できる!OCRサービスがDXに効果的な理由
OCRは「画像データをスキャンして読み取り、文字データを認識して抜き出せる技術」ですが、既存の書類をデジタル化できる点にメリットがあります。
DXを推進すると決まった後はペーパーレス施策を進めるためシステムの導入などを進めると思います。しかしシステム上でデジタルの書類を管理できるようになっても、紙でしか存在しない書類は管理することができません。
OCRがあれば、紙の書類をスキャンしてテキストデータとしてシステム上に保存が可能です。今まで紙で管理してきた書類をデジタル化してDXを推進するにはOCRが必要になります。
最終的には最初からデジタルデータで書類を作ってパソコンやスマホで一貫して管理していく必要がありますが、OCRはその準備を整えるのに役立ちます。
ちなみに「単に神の書類をスキャンするだけでは駄目なのか」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、画像データとして書類をデジタル化してしまうと文字の検索などができないので作業が非効率になるのがデメリットです。OCRによりテキストデータにしてあげることで、文字検索や編集なども簡単になり作業が効率化します。
対応している言語などを確認!DXに効果的なOCRサービスの選び方
ここからはDXに効果的なOCRサービスの選び方を解説していきます。
・読み取り精度は高いか
・多言語に対応しているか
・値段や機能が自社に合っているか
読み取り精度は高いか
OCRの読み取り精度は昔は低い状態であり、
・テキストがある部分を指定する必要がある
・筆記といった癖のある文字には対応できない
といったデメリットがありました。今では「AI(人工知能)」の機械学習の活用によりデメリットが減少しており、
・テキストがある部分を自動判別できる
・癖のある文字も認識して抜き出してくれる
といった特性を持つようになりました。
ただし読み取り精度についてはOCRサービスすべてで一定しているわけではなく、サービスごとに違う点に注意する必要があります。
OCRサービスを比較する際は実際にサービスを使いながら、
・横書きではなく縦書きにも対応しているか
・表からきれいに文字を抜き出せるか
・自分が書いた文字も1文字間違わずに抜き出してくれるか
などを確認してみてください。一般的に無料のOCRサービスは気軽に使える分、精度が多少有料モデルに劣る可能性が高くなります。
多言語に対応しているか
「自社の性質上、英語や中国語など日本語以外の言語にも対応しないといけない」という企業も多いです。
日本語とそれ以外の言語では筆記方法がまったく異なるため、OCRサービスをすべての書類に利用するためには多言語対応のOCRサービスを導入する必要があります。無料のOCRサービスでも英語など基本の言語に対応してくれる場合がありますが、複数の言語に対応したサービスを選ぶ場合は高性能なモデルを選択する必要があるので注意しましょう。
「日本語の書類より外国語の書類を扱う機会のほうが多い」という方は、海外製のOCRサービスがおすすめです。海外製のOCRサービスは日本語の読み取りは得意ではないものの、外国語の読み取りに高い精度を発揮してくれるモデルが多いです。
値段や機能が自社に合っているか
OCRサービスを小規模の企業で使う場合は、安いプランでも十分役立ちます。しかし規模がある程度大きく取り扱う書類の量や種類が多い場合は、多少コストが掛っても導入メリットの大きい多機能なOCRサービスを導入する必要があります。
・そのサービスの値段は自社の予算内か
・どのようなプランが提供されているか
・後でオプション機能を付けて機能を拡張できるか
といった点から適切なOCRサービスを探してみてください。
無料と有料両方をご紹介!DXに役立つおすすめのOCRサービス5選
ここからは無料と有料のOCRサービスを合計5つご紹介していきます。
・Googleドライブ(無料)
・OfficeLens(無料)
・DX suite(有料)
・tegaki(有料)
・FineReader15(有料)
Googleドライブ(無料)
「Googleドライブ」は本来OCRサービスではなく、オンラインストレージとして書類データや画像、動画データなどを保管できるサービスです。ただしOCR機能も無料で利用可能であり、活用範囲が広いのがメリットとなっています。
使い方は簡単で、対象の画像やPDFデータをGoogleドライブへアップロードして「Googleドキュメント」で開くだけです。すぐに抜き出したテキストがドキュメント内に表示されます。
基本的な横書きテキストや多少癖のある手書き文字程度ならば、精度の高い状態で抜き出せるのでビジネスでも十分使えます。ただし画像からビジュアルフォントなどを抜き出す作業や表から文字を抜き出す作業などは苦手としているので注意してください。
OfficeLens(無料)
「OfficeLens」は「Microsoft」社が提供する、無料のOCRアプリです。アプリなのでスマホにインストールすればすぐ使えるようになります。
画像が傾いていたり手書きであっても精度の高い状態で抜き出してくれるのが特徴です。その場でトリミングといった編集機能も使えます。
またOCRは対象をカメラでスキャンした時点で自動的に適用されます。たとえばOfficeLensでとりあえず撮影した画像からテキストをコピーして流用したいときは、画像内の文字から検索を掛けて該当のデータを簡単に探し出せるようになっているので便利です。
DX suite(有料)
「最高のAI-OCRを。」がコンセプトのOCRサービスです。大企業での導入事例も豊富なので安心して導入できます。
AIを活用したOCR機能が最大の特徴であり、
・文字のずれや罫線なども検出して抜き出してくれる
・アップロードした書類が自動で振り分けされる
・フォーマットに関係なくまとめて書類を読み取れる
といったメリットがあります。
有料ですが精度が高くて扱いやすいOCRサービスを探している方におすすめです。
tegaki(有料)
手書き文字の読み取りに特化したOCRサービスです。
手書き文字の認識率99.22%という非常に高い読み取り精度を誇っています。
・ひらがな
・カタカナ
・漢字
・数字
・アルファベット
など日本語の書類に使われるあらゆる手書き文字を簡単に抜き出せるのがメリットです。
また希望によっては対応言語を増やして拡張できるので、多言語の手書き文字に対応したい方にもおすすめのサービスになっています。
FineReader15(有料)
多言語対応に特化しているOCRサービスです。
対応言語は192か国とOCRサービスでもトップクラスであり、読み取り後のファイルは
・PDF
・Word
・Excel
・CSV
・TXT
といったファイル形式に変換して保存可能になっています。
またPDFについては特に機能が充実しており、閲覧だけでなく編集も簡単になっています。
「コーポレートエディション」という上位モデルでは、OCR処理を自動実行して指定したファイルをフォルダへ振り分けてくれるので便利です。
まとめ
今回はOCRがDXに効果的な理由、そしてOCRサービス選び方やおすすめサービスなどをご紹介しました。
OCRを使えば、既存の紙書類を簡単にデジタル化してペーパーレスを推進可能です。ペーパーレスだけではDXは実現しませんが、OCRはDXの第一歩として大きな効果を出してくれるでしょう。
ぜひ今回ご紹介したサービスも比較しながら、自社に適切なOCRサービスを導入してみましょう。