企業の経営状況を表す決算は、経営の要ともいえる非常に重要な業務です。しかしながら、決算書の作成までには、日常様々な出納データを管理しながら、税金の申告などの付随業務にも対応しつつといった複雑で煩雑な道のりが待っています。社内の機密情報でもある決算業務ですが、経理業務の中でも大きな部分を圧迫しているのが現実でしょう。
月次、半期、4半期、年次…と決算シーズンになると経理部内も慌ただしくなるばかりか、専門知識やノウハウを持った社員におのずと負担がかかってしまいます。決算業務をアウトソーシングすることで、業務効率の低下や工数の増加を解消することはできるのでしょうか? また、決算情報を外部に渡してしまうことは危険ではないのでしょうか?
目次
アウトソーサー選びは「何をアウトソーシングしたいのか?」を明確に
決算業務は専門家へのフルアウトソースがおすすめ
決算業務は専門家にフルアウトソースすることがおすすめです。
アウトソーシングすることで、決算書の作成から税金申請代行まで、税理士事務所や会計事務所の多くが一括して請け負ってくれます。また、同様に税理士や会計士資格、監査法人勤務経験のあるスタッフが揃った決算代行会社も増えていますので、アウトソース先の選択肢は広くなっています。
近年益々機能が向上している電子システムを介して、インサイトの経理部と、オフサイトの税理士(または委託業者)がスムーズにデータを共有しながら、決算業務を進めていく方法が一般的に行われているアウトソーシングです。
こういった専門家へのアウトソーシングにおける最大のメリットは、信頼性という点にあります。豊富な専門知識と経験を持ったプロに任せることで、税金の申告書はもちろん様々な書類において、「税理士監修」のお墨付きが得られることになります。少しずつ変わる法律や、税務調査対策などのリスクマネジメントにも、柔軟かつ的確に対応してくれ、企業の経営状況の透明性と信頼性をバックアップしてくれるのです。
また、中立的な第3者に入ってもらうことで、社内処理で危惧されがちな不正防止にもつながります。社内の担当者だけでは見落としがちだった細かい点にも注意を払い、複雑な業務も幅広く行ってくれるため、社内の業務効率が格段にアップするだけでなく、正確さも向上することとなるでしょう。
委託元企業とアウトソーサーの連携がなにより大切
煩雑で複雑な処理をスピーディーかつ正確に行えることが、アウトソーシングの利点です。請け負ったアウトソーサーたちはより精度の高い決算書の作成に尽力しようとしてくれるでしょう。しかし、そこで彼らが必要とする情報が委託元の経理部から出てこないとどうでしょう? 書類作成に必要な出納状況や経費精算などの処理が社内でずるずると遅れてしまったり、内容があいまいなものだったりすると、いくら有能なプロ集団といえども、成す術がなくなってしまいます。
「丸投げしてあとはお任せ」では、決算業務の効果的なアウトソーシングは成功しません。常に二人三脚で、より効率よく、より正確に業務を進めていくことが、大切なのです。社内の経理部も、日々発生する経理業務の中で、どうしたらよりスピーディーに処理が進められるかなどの、改善活動にも積極的に協力していくことを、忘れないようにしましょう。
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アウトソーサー選びは「何をアウトソーシングしたいのか?」を明確に
決算業務をプロへアウトソーシングする際に注意すべき点は、委託元の企業の経営規模に合ったサービスを展開しているかどうかです。日本企業の海外進出が益々加速している中、海外に子会社やグループ会社を持つ企業は増加しています。海外の連結子会社の決算をどのように行うのかは、それぞれの企業によりカラーがあるでしょう。世界の各拠点全体の決算業務を一括委託するのと、決算書作成などの業務代行を委託するのとでは、全く違います。前者は拠点を置く国の事情などにも明るく、海外決算経験が豊富なアウトソーサーに委託する必要があります。管轄する規模が大きくなればおのずと決算業務の規模も大きくなりますので、海外会計事務所や決算専門のコンサルタント会社などに委託することになります。一方後者では、決算書類や税金申告を含む、経理業務の代行を行っているBPOベンダーへのアウトソーシングとなるでしょう。
このように、実際に「決算業務」と一括りにしても、アウトソーシングという点から見てみると、細かな違いがあります。しかし、どのくらいの規模間でアウトソーシングするにせよ、大切な決算情報や財務状況を外部に渡すことには変わりません。委託先は、経験に裏付けされた有能なスタッフと情報の取り扱いへの高い信頼性を持つアウトソーサーであることが必要不可欠です。この点をしっかりとふまえながら、面倒で煩雑だった決算業務をプロにお願いすることを検討してみることをおすすめします。
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