労働人口の減少に伴い、企業の規模に関わらず、業務の効率化は喫緊の課題ですよね。そんな中、人手不足に悩むホワイトカラーの業務を担ってくれる存在として注目されているRPA。業務の自動化により、これまで人の手で行っていた煩雑な業務を一括して、高速で行ってくれるとあって、企業での導入が急速に進められています。
高性能なデジタルレイバー(仮想労働者)として、歓迎される点が取りざたされるRPAですが、実際の導入の際には、そのデメリットを把握しておくことが必要です。リスクマネジメントをしっかり行った上で、適切な導入を進めることが、人手が不足しながらも経営スピードは速まっていく社会において重要となっているのです。
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目次
社内での連携を強めRPAの監視体制を強化することが導入成功への道
導入コストは冷静に検討しよう
なんでも自動化してくれて、残業時間も人手不足もすべて解決すると思われがちなRPAですが、導入に踏み切るまでのコストをしっかりと利用するかどうかの判断基準に入れる必要があります。
導入に際し、まず社内で必要となってくるのは、自動化する業務の徹底的な洗い出しです。どの業務が自動化に適しているのかをプロセスごとに確認・選定し、実際に自動化が可能かどうかのテストを繰り返していく必要があります。そのためには、RPAで連携させる社内で使用している各システムの調整作業や、使用するデータのフォーマットの確認・修正作業なども入ってきます。
また、RPAはまだまだ新しいシステムのため、導入に際するシステム料が、業務代行を行うBPOベンダーなどと比較した際に割高である場合がまだまだ多くあります。システム単体の導入料だけが発生する場合もあれば、提供する会社によるメンテナンスやバックアップ料金もセットになっていたりする場合もあります。
自動化までの環境準備にかかる時間・人員コストと、割高な導入コストという初期費用が、有効な先行投資となるかどうかを、まず事前に社内で検討してから導入へと進みましょう。
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RPAのデメリット4つ
①誤作動でも実行し続ける
複数のシステムやアプリケーションを横断して、高速で自動的に業務を行うRPAですが、そんなメリットがデメリットになってしまう可能性があります。それは、変更やデータの妥当性は無視して、実行し続けてしまうことです。システムやアプリケーションに変更を加えた、または、クラウド上のシステムでバージョンアップなどの更新が行われた場合など、RPAが読み取れる値であれば、エラーにはならずにそのまま実行し続けます。また、例外や特定の条件下での対応が必要な場合も、事前に設定しておかなければ、RPAは実行エラーにならない限り、誤った手順のまま処理を進めてしまう可能性もあります。
②不正アクセス
セキュリティ上、業務の実行権限を限定した人にのみ与えているプロセスがある場合、それらのプロセスや情報へ権限の無いユーザーがアクセスしてしまう可能性があります。システムやアプリケーションごとに使用権限は設定していても、一連のプロセスを丸ごと結合して自動化してしまうと、本来実行権限の無いユーザーにもその業務がオープンになってしまいます。
また、複数のシステムなどと連携しているということは、ひとつのシステムに外部からの不正利用が生じた場合、連携する他のシステムなどへも波及してしまい、大規模な情報漏洩へとつながるリスクも考えられます。
③障害による業務停止
サーバー障害などが生じた場合、RPAの作業はすべてストップしてしまいます。高速で大量の業務を自動処理していた分、止まってしまうとその影響も大きくなり、業務によっては経営に大きなリスクを及ぼしてしまいます。
④業務のブラックボックス化
RPAが一連のプロセスを丸ごと担ってくれると、人間がその業務内容を把握しなくなり、人員配置の変更などを重ねるにつれて、RPAが実際に何の業務をどのようなプロセスで行っているのかを知らない人が増えていく恐れがあります。RPAによる業務がブラックボックス化していくことは、処理された内容に誤りがあった場合にそれに気づけないことへとつながるため、大きなリスクをはらんでいると言えます。
社内での連携を強めRPAの監視体制を強化することが導入成功への道
RPA導入により起こり得るこれらのデメリットは、すべてRPAへの過度な信頼と依存によるものです。RPAが、業務効率を格段に向上してくれる存在であることは間違いありません。だからといって業務を丸投げして放置してしまうことは、様々な点で企業の経営リスクを高めることへとつながっていきます。
これらのリスクを事前に回避するためには、RPA導入部門だけでなく、同じシステムやアプリケーションを共有している部門、また情報セキュリティの管理部門との密な連携が重要です。システムの変更による誤作動や不正アクセスの防止、サーバー停止に備えたバックアップ機能や環境復旧など、導入前に準備しておけることはたくさんあります。そして、RPAの動作確認を監査し、エラーログを分析し、正しい処理を行うよう設定を変更・調整することは、人間でなければできません。高い先行投資をして導入したRPAをムダに終わらせないためにも、社内全体で導入体制を整えていきましょう。
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