2017年に発表された、働き方改革実行計画。国内の各企業でも次々と労働環境の改善計画が施されています。労働時間の是正や非正規社員や高齢者の雇用拡大など、様々な課題が含まれている本計画ですが、最も重要なテーマは、労働生産性の向上です。そこで注目されているのがRPAです。
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経営戦略に「労働生産性の向上」は必要不可欠
欧米諸国と比較した際の日本の労働生産性の低さは以前より指摘されていました。世界トップクラスの経済国である日本の陰には、劣悪な労働環境、中でも長時間労働が暗黙の了解となっている企業風土の存在があったのです。時間無制限の中でひたすら業務をこなし続けることは、社員にとっては非常にストレスフルなことであり、社員の疲弊は企業にとって有益なことではありません。煩雑なノンコア業務に多くの時間と人員を費やす現状は、労働人口が減り続ける日本にとっては、業務効率を上げ、労働時間を削減し、なおかつ、生産性を高め続ける体制を構築することが、喫緊の課題であるのです。
そんな働き方改革実現のための救世主として注目を浴びているのが、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)の存在です。ソフトウェアロボットによる、オフィスワークの自動化は、これまで人の手で行っていた多くの業務を高速かつ正確に自動で処理することを可能にしました。人手不足が進む一方で、ビジネスフィールドのグローバル化は進み続けます。企業が今後も成長し、世界の市場で生き残っていくためには、社内からの変革が必要であり、RPAの存在は生産性向上のために大きな役割を担ってくれるのです。
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RPAにより企業は大幅なコスト削減を達成できる
RPAは、主にホワイトカラーのオフィスワークで多いルーティーンワーク、データ入力や集計などの一定のルール下における単純/反復作業に対し、一連の業務プロセスを自動化することを得意としています。多くの会社が社内で売上管理や経費精算などの様々なシステムを利用していますよね。その一方で、データ集計にはExcelを使用し、データ管理には社内システム、報告会議用の資料はパワーポイント、作った資料はメールで送信…などといったように、複数のシステムとアプリケーションを行き来しながらひとつの業務を行っています。PC画面上にそれぞれ立ち上げながら、CSVをダウンロードしたり、ひとつひとつコピー&ペーストを繰り返したりする作業は、決して生産性が高いとは言えません。経営規模が大きくなればなるほど、これらの定期的なルーティーンワークに費やす労力や時間は多くなり、人件費はもちろんのこと、様々なコストも膨らんでいきます。
RPAは、このようなプロセスを圧倒的なスピードで処理していきますので、日次・週次・月次など定期的にデータをまとめたり、必要なデータだけをまとめてメールで送信したりすることに人員を割く必要がなくなります。その結果、これまでの作業時間を大幅に削減でき、派遣やパート社員を補充する必要もなくなるため、残業時間をはじめとする大幅なコスト削減の実現が可能となるのです。
RPAの活用で社内外の業務の連携がスムーズに
RPAの大きな強みは、複数のシステムやアプリケーションと連携して業務を行う点です。営業や出張で社外にいる場合、顧客や取引先からの問い合わせや急な発注・在庫確認に、わざわざオフィスに電話して確認することは、社外にいる担当者もオフィスで確認する社員も時間と手間がかかりますし、件数が多くなればそれだけ時間がかかり、機会ロスにもなりかねます。
すでにRPAを導入している企業では、食品業界をはじめ商品の小売販売をしている企業も多くあり、RPAを社内外の連携を高めるツールとして活用しています。先に挙げたような在庫に関する問い合わせも、あらかじめRPAに在庫管理システムからピックアップしたデータをメールで送信する設定をすることが可能です。既定の件名をつけ(この場合「在庫確認」など)、本文に商品コードなどを入力してメールを送信すれば、設定ルールに従い、そのコードの商品の在庫状況をメールで返信してくれるといった機能もすでに運用されています。
このように、RPAは社内のルーティーンワークの自動化だけでなく、社内外での業務の連携がより迅速になるという利点があります。場所や時間に縛られない、リモートワークの推進も働き方改革の一環ですので、業務のモバイル化にもRPAは貢献することができるのです
RPAを活用することで少数精鋭で成長する企業へ
RPAの導入により、これまでノンコアな定期業務に充てていた人員は、よりコアな創造性の高い業務へと充てることができるようになります。少ない人数ながらも、それぞれが経営に直結するような重要なプロジェクトを担うことでモチベーションも高まり、より高い品質を目指していくという気運も高まっていきます。その結果、労働時間の短縮→品質の向上→社員のモチベーションアップ→品質がさらに向上…といった良い循環が生まれ、働き方改革の根幹である「労働生産性の向上」を実現することができるのです。
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