デジタル分野における技術革新が著しい近年において、企業の持つ様々な課題を解決する手段として、RPAへの関心も高まり続けています。すでに国内においても導入が進められているRPAですが、導入コストや実際にうまく現場で使いこなせるのかといった懸念から、導入を足踏みしている企業もまだまだ多いのが現状です。
今回は、RPAとはどのようなものか、その基本的な特性や得意とする業務、もたらされる効果を挙げていきながら、現場での活用イメージを膨らませていきましょう。
目次
RPAとは定型業務を自動で行う労働ロボット
RPA(Robotic Process Automation)は、ホワイトカラー業務における単純なルーティンワークを、ロボットにより自動で行うテクノロジーのことを指します。RPAは、「デジタルレイバー(バーチャルな知的労働者)」とも呼ばれ、新しい労働力として、世界の先進各国を中心に、多種多様な企業での活用が報告されています。
企業活動において、日次・週次・月次・決算期など、定期的に発生する業務は実に様々ですが、その多くは、一定の業務フローとルールに沿って、反復して行われるものです。データ入力、特定データの抽出、そのデータを基とした書類作成、メールに添付して送信…など、「パソコンの画面上で繰り返し行われる作業」が、RPAが担当可能な業務とイメージすると良いでしょう。
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現段階でリリースされている多くのRPAが得意とする作業は、
1.一定ルールに基づく反復作業を行うこと
2.1の作業を、複数のアプリケーションを横断して行うこと
の2つに絞られます。
様々な業務毎に自社システムを導入し、データ管理を行っているケースは多いかと思います。データ入力をExcelへ、入力したデータを自社システムへコピー&ペースト、各作業で必要なデータをCSVでシステムからダウンロード、各種フォーマットへコピー&ペーストして書類作成といった作業を伴う業務は、各部門において多く存在します。このような一定作業は、RPAの特性2を活用することで、手作業に比べ、圧倒的なスピードと正確性をもって、作業を進めていくことが可能となります。
RPAにより様々な業務コスト削減が可能に
それでは、一定ルールに基づく反復作業を得意とするRPAによって、実際にどのような業務コストの削減が可能となるのでしょうか。
・人件費
24時間365日休みなく、自動で稼働し続けるRPAにより、人件コストは1/10~1/3程度まで抑えることが可能となります。期間従業員の雇用や、残業時間を懸念する必要もありません。また、新人研修などによる、実務遂行が可能となるまでのリードタイムも発生しません。
・業務工数
単純作業を得意とするRPAにより、これまでこつこつと手作業で行っていた一連の作業を、迅速に進めることが可能となるため、人が行う作業の大幅削減が可能となります。また、データの不一致などの人為的ミスも発生しないため、追跡調査に割く時間と労力を最小限に抑えることができます。
RPAにより生み出された時間と労力をより創造性の高い業務へ
圧倒的なスピードで、ノンストップに、正確な作業を続けられるRPAによって生み出された新たな時間や労力は、より付加価値の高い業務へと費やすことができるようになります。労働人口が減少の一途を辿る日本にとって、多様化・複雑化するグローバル経済の中での生き残り戦略は喫緊の課題です。減り続ける人員を効率的に活用して、企業価値を高め、成長を止めないためにも、各部門の業務プロセスを再構築することは、必要不可欠と言えるでしょう。RPAの活用によって創出された貴重なリソースを上手に活用してこそ、RPA導入の意義を実感することができるのです。RPAは、間接部門だけでなく、営業や製造などの直接部門においても、業務コスト削減に有効ですので、人手不足や超過労働が問題となっている部門においては、まず一度、業務の棚卸しを実施し、RPA導入の可否を検討してみることをおすすめします。
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