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外注する際に知っておくべき請負契約と準委任契約の違い

外注する際に知っておくべき請負契約と準委任契約の違い_1

働き方改革推進により、働き方の自由度が高まりを見せています。クラウドソーシングサービスの普及や、それに伴うフリーランスの増加は、深刻な人材不足に悩む企業にとっても、企業活動を効率的に進めていく上での新たな手段となり、利用率も高まっていることでしょう。業務をピンポイントで外部のプロフェッショナルに委託する「業務委託契約」が一般的になりつつある一方で、契約時のトラブルも増加傾向にあります。発注する企業側と受注側の双方にとってお互いが気持ちよく働くためにも、契約内容に齟齬が発生しないようにすることは、後々のトラブルを回避する上で、非常に重要です。

実は、「業務委託契約」は「請負契約」と「準委任契約」という2種類の契約に分かれます。今回は、この2種類の契約が法律上どのような意味を持つものなのかを解説していきながら、発注側・受注側それぞれのメリットを挙げていきます。

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目次

業務委託契約は、「請負契約」か「準委任契約」に分かれる

請負契約と準委任契約の違い

請負契約はゴールと責任の所在が明確

準委任契約はスキルを効率的に活用できる

業務委託契約は、「請負契約」か「準委任契約」に分かれる

「業務委託」という言葉は、外部に業務を発注する際に広く使用されている言葉ですが、法律上は存在しない契約形態です。実際には、前述した「請負契約」と「委任/準委任契約」(※1)の両方の意味を含んでいる、実務上で使用されるようになっただけの表現です。

(※1)「委任契約」と「準委任契約」の2つに分かれますが、「委任契約」は法律に関する業務を対象としているため、今回は、法律に関係のない業務「準委任契約」を対象に話を進めていきます。

請負契約と準委任契約の違い

なかなか区別がつきづらい「請負契約」と「準委任契約」ですが、それぞれの違いをまとめました。実際に契約する際にはこの点を注意しましょう。

受注者の義務

まず挙げられるのが、受注者がどこまでの義務を負うのか、という点です。

「請負契約」は、成果物の完成を約束した成果報酬型契約です。
期日内に指定された成果物を完成・納品することを約束する契約なので、受注者は完成させる義務と納品後の修正にも応じる責任を負うことになります。

対して、「準委任契約」は、指定業務の遂行を約束した契約です。
発注者の指定した期間内に指定の業務を遂行することを約束し、その労働期間に対しての報酬が受注者に支払われる契約なので、成果物を完成させる義務や修正義務はありません。ただ、良識的に業務を行う義務「善管注意義務」が発生するため、悪質な不履行が発生した場合は、賠償請求や契約解除となる可能性があります。

つまり、「請負契約」の義務は「完成品の納品」で、「準委任契約」の義務は「業務の遂行」である、ということです。

瑕疵担保責任(契約不適合責任)

請負契約だけにある特徴として、「瑕疵担保責任(契約不適合責任)」と呼ばれる責任が課せられます。
「瑕疵担保責任」とは、受注者が完成させた成果物に瑕疵(契約書などに定めていない不具合・欠陥)が発生した場合、受注者が対応しなければならない、という責任です。
契約書上では「修補」という文言で登場してくることが多く、民法では修補の期間を原則引き渡してから1年間と定められています。

ただ、この期間は短縮することができるので、実際に契約する場合は期間について発注者・受注者ともにしっかり意見をすり合わせたほうが良いでしょう。

報酬を請求できるタイミング

「請負契約」と「準委任契約」では、受注者が報酬を請求できるタイミングが違います。

まず「請負契約」では、受注者は成果物の引き渡しと同時に報酬を請求することができます。

一方で、「準委任契約」では、契約の終了をもって、受注者に報酬が支払われます。つまり、成果物を納品することが必須ではありません。
ただ、「準委任契約」では、受注者の作業内容や日時、工数などのデータや書面の提出を発注者が求めてくることがあります。発注者側は成果物が確実に手に入るわけではないため、何に対して報酬を支払ったのかを証拠として残しておくためです。

中途解約ができるタイミング

「請負契約」と「準委任契約」では、誰がいつまでに中途解約できるのか、という点も異なります。

「請負契約」の場合、発注者は成果物が納品される前なら契約を解除することができます。しかし、成果物完成前に契約を解除する場合は、受注者に対して損害を賠償しなければなりません。

対して「準委任契約」の場合は、発注者・受注者どちらからでもいつでも解約することができます。ですが、民法が改正された影響で、相手方が不利なタイミングで中途解約した場合は、損害を賠償しなければならないことがあります。注意が必要です。

再委託(下請け)が可能かどうか

再委託とは、受注者が下請け業者などの第三者に業務を委託することです。
「請負契約」では再委託は可能ですが、「準委任契約」では原則として再委任をすることができません。
ですが、「準委任契約」の場合でも、発注者の承諾を得ることができれば、受注者は再委任をすることができます。

関連ページ:外注と業務委託の違いとは? それぞれの効果的な使い分け方

請負契約はゴールと責任の所在が明確

完成品を納品することが対象の請負契約においては、契約履行の基準(ゴール)が明確であるため、発注者・受注者双方にとって、達成基準に齟齬が生まれにくいことが最大のメリットです。

発注側のメリット
・発注コストやスケジュールの透明性が高い
・指定した基準の成果物の納品、またその後の修正対応も約束されているため、安定した品質を保つことができる

受注側のメリット
・明確なゴールに向かって作業を進めることができる
・基準を満たしていれば、報酬が大きく変動することがないため、収入計画が立てやすい

準委任契約はスキルを効率的に活用できる

モノが対象の請負契約と違い、準委任契約の対象は、業務遂行という行為です。ひとつひとつの具体的な作業までを指定していない場合が多くあるため、スキルの有効活用という点が、双方にとっての最大のメリットとなります。

発注側のメリット
・契約履行の達成基準を柔軟に変更しやすい
・高いスキルを持った人材に適切な業務を必要な期間だけ委託できるため、人件コストを抑えられる

受注側のメリット
・期間内の完成義務を負う必要がない
・契約期間内は一定の収入を継続的に得ることができる

外注する際に知っておくべき請負契約と準委任契約の違い_2

win-winな委託契約のためにも相互確認はしっかりと
業務委託と一言で言っても、対象となる契約内容や責任の所在は様々です。請負と準委任契約どちらも発注・受注側双方にメリットがあると同時に、どちらか一方にとってリスクとなり得る契約となるケースもあります。発注者は、品質の安定や円滑な企業活動への影響を、受注者は収入や果たすべき義務・責任を比較しながら、どちらの形態での契約がベストな効果をもたらすかをしっかり検討してから契約を締結しましょう。そして、双方が納得した契約内容を結び、グレーゾーンを持たないようにすることが、外部人材との有効な契約には欠かせないポイントであることも、忘れないようにしましょう。

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