いつでもどこでも、インターネットにつながれる時代になりました。社会の「IoT(物のインターネット化)」が進み、インターネットに接続できる機器は増え続けています。IoT機器のデータはインターネット上の「クラウド」で処理及び管理しますが、このままだとクラウドへの負担が増し、ダウンする危険性も高まっています。
そこで近年新たに登場したのが、「エッジコンピューティング」です。エッジコンピューティングを利用すると、ユーザーの近くでデータの処理が可能になるためクラウドの負担が減るだけでなく、データ通信のタイムラグの減少にもつながります。
そこで今回はエッジコンピューティングの概要やメリットなどをご紹介。「将来エッジコンピューティングが広まると何が便利になるのか知りたい」という方はぜひご覧ください。
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目次
エッジコンピューティングとは
エッジコンピューティングは、ネットワーク上のコンピューターを通したサービスである「ネットワークコンピューティング」の1つです。ユーザーのスマホやIoT端末の近くにサーバーを分散配置して処理を行います。
エッジコンピューティングはクラウドと連携することで真価を発揮します。例えばユーザーがリアルタイムでデータ通信しなければいけないサービスを利用するときは、わざわざインターネット経由でクラウドにデータを送るのではなく、エッジコンピューティング用のサーバーで処理を行います。するとユーザーから近い距離でデータの処理が行われるのでレスポンスが速くなり、クラウド側のトラフィックも少なくなります。
これからのクラウドのサービス品質を保つためにも、エッジコンピューティングは重要な技術です。
エッジコンピューティングのメリット
エッジコンピューティングには、次のようなメリットがあります。
・低遅延でデータ通信ができる
・災害時などのネットワークの耐性が上がる
・データ送受信時のセキュリティが高くなる
低遅延でデータ受信ができる
先ほどもお伝えしたとおり、エッジコンピューティングではクラウドにデータを送るより低遅延でデータ通信ができます。技術的な視点でいうと、クラウドコンピューティングで処理を行うより、エッジコンピューティングで処理を行った方がデータ通信の遅延が100分の1ほどになります。
以上のことからエッジコンピューティングは自動運転、遠隔医療などの実現に関わる新世代の移動体通信方式「5G」で低遅延のデータ通信を行うときのカギになります。
災害時などのネットワークの耐性が上がる
エッジコンピューティングのメリットは、低遅延でデータ通信ができることだけではありません。
クラウドサービスを利用して業務を行っているとき、万が一クラウドが技術的なトラブルでダウンすれば、業務処理ができずに四苦八苦する羽目になります。また災害が起こってクラウドが破損したときも同じです。このように中央集権的な性質をもつクラウドに依存すると、災害やトラブルのときに業務に支障が出る可能性もあります。
エッジコンピューティングでは一部の処理をユーザー付近のサーバーで行います。これにより万が一中央のクラウドが使えない状態になったときも、一時的にエッジコンピューティング用のサーバーでデータ処理を行うことで、業務の停止という企業にとって致命的なトラブルを回避できます。
データ送受信時のセキュリティが高くなる
クラウドサービスではあらゆるデータを業者のクラウドに保存します。中には外部に知られるとまずい、業務的に重要なデータも含まれているでしょう。もしハッキングなどで外部からクラウドに対して攻撃があった場合、そういった重要なデータが全て外部に漏洩してしまう危険性もあります。
エッジコンピューティングでは、気密性の高いデータはクラウドに送らなくても、エッジコンピューティング用のサーバーで処理できます。これにより外部に機密性の高いデータが漏洩するリスクが少なくなり、セキュリティ面でも安心して仕事ができます。
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エッジコンピューティングでクラウドがどう変わるのか
エッジコンピューティングは各スマホやIoTデバイスを持っているユーザーの付近で処理を行うという、地方分権的な性格を持っています。これを中央集権的なクラウドと組み合わせることで、膨大な処理などはクラウドで、簡単な処理や低遅延で送る必要があるデータはエッジコンピューティングでと、状況に応じてお互いの使い分けができます。
エッジコンピューティングを利用することで、クラウドはユーザーにとってより利便性の高いサービスを提供できるようになります。
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まとめ
エッジコンピューティングについて世界的な標準規格などはまだ定まっておらず、策定の段階にあります。しかし将来の5Gの普及などに合わせて、各企業がエッジコンピューティングに投資してインフラの整備を整えつつあります。
IT業界において「パラダイム・シフト」は短期スパンで来ます。技術の躍進で、我々が思っていた以上に早くエッジコンピューティングが一般的になるかもしれません。ぜひ今のうちにエッジコンピューティングについての知識を深め、仕事で活かせるようにしてください。
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