日本の企業では、長い間「PDCA」の考えに基づいて業務サイクルを回して業務効率化を図っていました。
確かに今でもPDCAサイクルの実効は重要です。しかし近年では「プロダクトライフサイクル」が短くなっていることからも分かる通り、商品やサービスの市場の変化が激しい時代です。実行までに時間もかかり、想定外のことを念頭に置いていないPDCAサイクルでは、上手く業務サイクルを回せない可能性もあります。
関連ページ:業務を効率化するために知っておきたいPDCAのポイント!
そこで近年注目が集まっているのが、現場指向の考え方である「OODA」です。OODAを利用することにより、その場で最善な方法を用いて業務サイクルを回せるようになります。
今回はそんなOODAとはどのようなものか、その概要やメリット、そしてPDCAとの違いを分かりやすくご紹介していきます。「OODAとは何か、よく比較対象として挙げられるPDCAとの違いまで含めてしっかり理解したい」という方はぜひご覧ください。
目次
OODAとは
OODAとは、OODAループとも呼びます。アメリカ空軍のエースパイロット、「ジョン・リチャード・ボイド」が提唱しました。軍人が編み出したこともあり、戦場と同じように「その場で最善な方法を見つけ出し、即実行に移す」ことに重点が置かれています。アメリカを中心として、世界各国で広く用いられている考え方です。
OODAは、4つのプロセスに分かれています。
・観察(Observe)
・方向付け(Orient)
・決心(Decide)
・実行(Act)
観察(Observe)
「観察(Observe)」では、現在の状況を冷静に判断し、情報収集を行います。アパレルショップで当日考えて服を購入する場合に例えると、自分の好きなブランドのTシャツで最新のアイテムはどれくらいあるか、サイズや値段まで含めて調べます。
方向付け(Orient)
「方向付け(Orient)」では観察段階で収集した情報に合わせて、どんな行動をとるか決定します。先ほどの例であれば、サイズや値段、そしてデザインまで含めて気に入ったのはAとBの2種類であり、どちらかを購入することを検討する段階です。
決心(Decide)
「決心(Decide)」では、方向付けで検討した計画の中で、最善のものを決定する段階です。自分の希望と照らし合わせて、一番それが実現できるものを選びます。
2種類にまで絞ったTシャツの内、自分がベストだと思うトレンドをより多く取り入れているのはAなので、A購入を決定した段階がこれに当たります。
実行(Act)
「実行(Act)」では、決心段階で決定した計画を実行に移します。A商品を購入して入手する段階です。ここで一旦OODAは終了しますが、購入後であれば「Tシャツに合うボトムも欲しい」となるかもしれません。その際はすでに購入したA商品と見比べながら、再びOODAを回すことになります。
OODAのメリット
OODAのメリットは、次の通りです。
・計画から実行までのスピードが速い
・その場に応じた最善の判断ができる
・コスト削減にもつながり、生産性が向上する
計画から実行までのスピードが速い
PDCAでは、事前情報に基づいた念入りな準備が必要になります。そして計画してからの実行、チェック、改善案の提案にも時間がとられます。
OODAの起点はあくまでその場における情報です。そして実行までに時間もかからずスピーディーです。時間を掛けられない場面でもループを回せるスピードの速さが、OODAの持ち味です。
その場に応じた最善の判断ができる
PDCAでは事前の計画を元に実行を行います。よって計画外の事態が発生したときは、目標達成が遠のいてしまう危険性もあります。
OODAでは、その場その場で起こった事態に対して、最善と思われる方法を現場が決定できます。結果PDCAよりも柔軟にループを回すことができ、PDCAよりも最善な行動をとれる場合もあります。
コスト削減にもつながり、生産性が向上する
OODAでも、PDCAと同じように絶えずサイクルを繰り返すことで、業務効率が改善化します。結果コスト削減などにもつながり、生産性も向上します。
OODAとPDCAの違い
OODAとPDCA、この2者はそもそもの思想が違います。OODAでは戦場由来の迅速な判断と柔軟な計画実行が肝ですが、PDCAは日本の製造業が発祥ということもあり、定型的なプロセスをじっくり調査して、改善していくことに重点が置かれています。
移り変わりが激しい現代に即した考え方はOODAかもしれませんが、定型的な業務ではPDCAを続けて回した方が得策なケースもあります。両者を上手く使い分けながら、業務効率化を図っていくのがこれからの企業には必要になってきます。
関連ページ:必見!業務改善を効率化するフレームワーク5選!
まとめ
今回はOODAの概要やメリット、そしてPDCAとの違いをご紹介しました。
商品やサービスの売れ行きが不透明な現代では、OODAの迅速で柔軟性の高いメリットが大きな武器になる可能性があります。ただしどんな業務にもOODAを取り入れれば成功するとは限りません。従来のPDCAも上手く活用して、業務効率化を図りましょう。
おすすめ関連記事:どう進める? 「BPR(ビジネス・プロセス・リエンジニアリング)」とは?
おすすめ関連記事:BPRを進める上で有効なフレームワークとは?