先日格安SIM会社大手の「IIJmio」が、「eSIM（embedded Subscriber Identity Module）」に対応した通信サービスの提供開始を発表し、大きな話題となりました。従来の「SIM（Subscriber Identity Module））」と違いインターネット上で情報を書き換えられるeSIMは、SIMの在り方を大きく変えるポテンシャルを秘めています。
しかし「eSIMとSIMの違いがよく分からない」という方も多いでしょう。そこで今回はeSIMとは何か、そしてそのメリットやこれからについても解説していきます。「eSIMとは何か知りたい」、「eSIMにはどのようなメリットがあるのか知りたい」という方はぜひご覧ください。
目次
eSIMとは
eSIMとは、「ネットワーク経由で契約者情報を書き換え可能なSIM」のことです。
SIMには固有の認識番号など、契約者に関する各情報（プロファイル）が保存されています。このプロファイルをもとにして、SIM経由で携帯電話会社の回線を使えるようになります。しかし従来のSIMは着脱式で、他社への乗り換えなどを行う際はいちいちSIMを抜いてまた新しいSIMを挿して、といった手間がかかります。
eSIMの特徴は、RSP（Remote SIM Provisioning）という機能を搭載している点です。
RSPでは、わざわざSIMを抜きさししなくても、インターネット上でプロファイルの書き換えができるようになります。これにより従来回線変更などに必要だったSIM入れ替えなどの手間がなくなり、スムーズに契約変更することができるようになります。また実際にeSIMの情報書き換えを行うときも、携帯電話会社が用意したQRコードを読み込み手続きを行ったりと、簡単です。
eSIMのメリット3つ
ここからは、eSIMのメリットを3つご紹介していきます。
・SIM抜きさしの手間がかからない
・柔軟にユーザーが回線契約できるようになる
・海外で通信する際も割安になる
SIM抜き差しの手間がかからない
すでにご紹介したように、eSIMはインターネット上で情報を書き換えられます。ですからユーザーが契約変更などを行う際も、SIMの抜きさしは必要ありません。これにより契約変更の際も、余計な手間なく手続きがすぐ完了するようになります。
わざわざ店頭でSIMの手続きをしたり、インターネットで注文を行った新しいSIMの到着を待つ必要もありません。手続きが簡略化されるのが、eSIMのメリットの1つです。
柔軟にユーザーが回線契約できるようになる
eSIMでは、ユーザーがSIMを1枚持っていればスムーズに契約変更が可能です。
例えば「昨日は携帯電話会社Aと契約していたけど、今日から携帯電話会社Bに契約して回線を使ってみよう」といったことも可能です。またeSIMの保存容量が足りていれば複数のプロファイルを同時に書き込めるので、「通話専用の会社Cと、データ専用の会社Dを使い分けたい」といった目的があっても1枚でこなせます。
将来日本国内キャリアや格安SIM会社がeSIMに一般対応するようになれば、複数の携帯電話会社回線をeSIM1枚で使い分けて、料金節約も可能でしょう。このように柔軟にユーザーが回線契約できるようになるのも、eSIMのメリットです。
海外で通信する際も割安になる
現在eSIMのメリットを一番感じやすいのが、海外で携帯通信を行う場合です。
従来海外で携帯通信を行う際は「ローミング（海外の携帯通信会社の回線を、一時的に契約会社経由で借りる）」や、「プリペイドSIM（旅行先で買える使い切りのSIM）」などを利用する必要がありました。しかしローミングは料金が高くつきやすいですし、プリペイドSIMはSIM抜きさしの手間がかかります。
eSIMを利用すれば、現地到着後すぐにプロファイルを書き込んで現地キャリアの回線を使う、といったことも可能になります。旅行先の携帯通信会社と直接契約できれば、ローミングより料金が節約できる可能性が高くなります。
またプリペイドSIMをわざわざ購入して、抜きさしする手間も省略できます。このように海外で携帯通信を使いたいときも、eSIMは役に立ちます。
eSIMはこれからどうなっていくか
残念ながら、現在日本ではeSIMを本格的には使えません。「ドコモ」、「au」、「ソフトバンク」の3キャリアは対応を検討中とのことです。
ただしソフトバンクが今後参入を予定するなど、少しずつですがeSIM普及に対する動きは出てきています。eSIMにはたくさんメリットがあるので、収益につながるとなれば今後導入の動きは段々と広がっていくでしょう。
まとめ
今回はeSIMとは何か、そしてメリットやこれからの動きなどをご紹介しました。
インターネット上で簡単にプロファイル情報を書き換えられるeSIMは、従来のSIMの考えを大きく覆します。今後eSIMが普及すれば、従来ではありえなかった携帯通信回線の柔軟な変更が実現するでしょう。
ぜひ最新情報を追っていきながら、今後のeSIM導入の動きに注目していきましょう。
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