他社にITシステムを提供している、あるいは自社でITシステムを利用している場合、どうしても操作時に分からないことが出てきたり、トラブルが発生したりします。そういった疑問やトラブルなどに対応するため企業内に設けられるのがヘルプデスクです。
しかし非効率なヘルプデスク運用方法のせいで、無駄にコストがかかってしまっている企業がたくさんあります。ヘルプデスクを効率よく運用できる体制にすれば、コスト削減をしながら上手くヘルプデスクを回せるようになります。
今回はヘルプデスクを設定している企業様向けに、ヘルプデスクコストを削減する方法や実際に削減に成功した企業の事例などをご紹介していきたいと思います。
目次
ヘルプデスクとは
ヘルプデスクとは、「ITに関する疑問やトラブルを解決する仕事」です。
・社外ヘルプデスク・・・自社提供のITサービスに関する顧客問い合わせなどに対応
・社内ヘルプデスク・・・自社で使っているITに関する疑問解決などに対応
の2種類があります。
社外ヘルプデスクでは、自社が提供しているITサービスを導入している企業で操作方法に疑問が発生したりトラブルが起こったりしたときに、その内容を聞き出し原因究明と解決に当たります。つまり「IT企業版のカスタマーサポート」と言い換えてもいいでしょう。
社内ヘルプデスクでは、社内にいるシステムエンジニアと問題やトラブルの発生した社員の橋渡しを行い、原因究明や実際の問題解決をサポートしていきます。中小企業では社内システムエンジニアと、社内ヘルプデスクを兼任して行うケースも多いです。
ヘルプデスクにはITサービスに関する疑問に応対したり、トラブルを直接解決したりするための知識や技術が必要です。それに加えて、他社とコミュニケーションを行うスキルも身につけなければいけません。
最近では労働力の減少により、人件費を以前より押さえにくくなっています。加えてヘルプデスク自体にも業務が集中しがちで、漫然と電話やメールなどで疑問やトラブル発生などを受けて作業をする、という工程を繰り返しているだけでは業務が非効率になり、コストが上がってしまう傾向にあります。
人件費が主なコストであるヘルプデスクでは、いかに効率よく業務を回しながら人件費を減らし、サービスの質も確保するかが重要になってきます。
ヘルプデスクのコストを削減する方法をご紹介
ここからは、ヘルプデスクのコストを実際に削減する方法をご紹介していきます。
・問い合わせ件数を減らし、応対時間も削減する
・ヘルプデスクツールを導入する
・ヘルプデスクをアウトソーシングする
問い合わせ件数を減らし、応対時間も削減する
ヘルプデスクのコストが上がる大きな要因の一つとして、問い合わせ件数が増えてしまいがちで、応対にも時間がかかってしまうというのがあります。
自社提供のITサービスのユーザーが増える、あるいは自社の人員が増えてITシステムを使うユーザーが増えると、それだけ問い合わせ件数も増えていきます。そして応対というのは時間がかかりがちなものです。
例えば電話でいちいちユーザーの細かい質問にまで回答していたら、時間がかかります。また定型的によく聞かれる内容というのもたくさんあるので、同じ質問に同じ内容を返していると無駄に時間がかかります。
これはメールでの対応でも同じことです。メールの場合だと電話に比べて対応を後回ししやすいので、対応を忘れてしまい後々トラブルの元になる、という可能性もあります。
問い合わせの件数を減らしながら応対時間を削減するには、質問をしたい方の意図を読んで準備をする考えがポイントになってきます。
「FAQ(よくあるお問い合わせ)」ページを自社Webサイト内に作成するのは代表的な例です。よくありがちな問い合わせ内容を質問と回答の形で記載し疑問やトラブルを解決しようというFAQは、問い合わせ件数削減の目的でもよく使われています。
FAQをヘルプデスクコスト削減の目的で使う場合は、FAQの存在をまずは知ってもらうことが重要です。自社関連コンテンツでFAQの紹介をしながらFAQ認知度を高め、「ちょっとした疑問やトラブルは自分で解決できる」という意識を問い合わせ予定者に持たせると、問い合わせ件数も削減されるでしょう。
また新しく発生した質問は新たにFAQに加えていくなど、FAQ自体の更新も行うとさらに効果が上がるでしょう。
ちなみに最近では、ユーザーからの問い合わせに回答しながらヘルプデスクの人件費などを削減できる「チャットボット」導入も進んでいます。
チャットボットではあらかじめ登録された内容あるいはAIに基づき、ユーザーからの問い合わせをチャット形式で受けつけ、回答を行います。FAQを読むよりスムーズに問題を解決しやすく、また蓄積された問い合わせ内容はチャットボット自体のアップデートへ活用できます。
無料からチャットボットを利用できるサービスもあるので、気になる場合はそういったサービスを試験的に運用してみて効果を確かめてみてください。
関連ページ:顧客対応の質向上にも効果的! チャットボットのメリットや活用事例
ヘルプデスクツールを導入する
ヘルプデスクを人力で行うと、問い合わせの対応から実際の解決までに大変な時間がかかります。そこでヘルプデスクツールを導入すれば、ヘルプデスク作業にかかる時間や人件費を大幅に削減できます。
ヘルプデスクツールでは暗号化された安全な通信でのデスクトップ画面共有が可能です。これにより遠隔地からのトラブル対応問い合わせにも、その場で実際に画面を見ながら確実に対処できます。安全な通信ですので、質問者からも嫌がられにくいでしょう。
またヘルプデスクツールには、マニュアル作成をサポートする機能もあります。ヘルプデスクでは人員が変わり、引継ぎを行う場合もあると思います。この際マニュアルがあれば、引き継ぎ後の人員も安心してヘルプデスク業務を行えます。
他にもショートカットキーの自動登録や対応内容のキャプチャ保存、アクセス制限機能など、ヘルプデスクを行う上で役に立つ機能が搭載されています。ヘルプデスクツールごとに機能は変わってくるので、実際に導入するときは事前の下調べを入念に行い、自社業務に適したヘルプデスクツールを導入しましょう。
ヘルプデスクをアウトソーシングする
「社内でヘルプデスクを設けたいが、人員が不足している・・・」とお悩みの場合は、思い切ってヘルプデスクをアウトソーシングするという方法もあります。
ヘルプデスクのアウトソーシングサービスでは、専門の知識と技術を持ったスタッフが的確に質問者の疑問に対応してくれるため、社内でのヘルプデスク教育コストも人件費も削減可能です。ただしヘルプデスク業務をアウトソーシングする場合は自社の個人情報や機密などを公開しなくてはいけないため、信頼できるところに任せつつ、公開する情報は慎重に選定しましょう。
ちなみにもうヘルプデスクをアウトソーシングしている場合は、アウトソーシング自体のコスト削減も視野に入れておきましょう。
例えば24時間対応してもらう場合と、問い合わせ内容が集中する時間帯にだけ対応してもらうのでは、かかるコストが大きく変わってきます。また固定料金制で契約している場合、問い合わせ件数を減らす対策を施しながら従量課金制へ契約変更すれば、大きくコストを削減できる可能性があります。
このようにヘルプデスクをアウトソーシングしている場合は、契約自体を見直してコスト削減する方法も考えておきましょう。
関連ページ:ヘルプデスク業務をアウトソーシングするメリット
ヘルプデスクのコスト削減を実現した企業事例
ここからは参考に、ヘルプデスクのコスト削減などに実際に成功した企業事例を3つご紹介していきます。
・ソフトバンク
・ブランディア
・パルシステム
ソフトバンク
「ソフトバンク」では、「コグニティブコンピューティング(データを認識して、適切な結果を出力できる技術)」サービスを活用して、ヘルプデスクの業務効率化を行いました。
コグニティブコンピューティングによりユーザーの問い合わせ内容に対する適切な回答を瞬時に見つけられるようになったので、スタッフの問い合わせ対応時間の削減などが実現しました。 あなたの会社でもコグニティブコンピューティングを導入すれば、効率的なヘルプデスク業務が実現するかもしれません。
関連ページ:業務改革も可能な、コグニティブコンピューティングのメリット
ブランディア
ブランド品買取サービス大手の「ブランディア」では、「LINE」アプリにチャットボット機能を組み込み、ヘルプデスク業務に活用しました。
定型的に電話やメールで行われていた質問への応対をチャットボットで自動化することで、問い合わせ件数自体を大きく削減しました。このようにチャットボットをあなたの会社でも上手く活用すれば、効率的に問い合わせ内容を削減しながら、問い合わせ内容にもしっかり回答できる環境ができあがります。
パルシステム
食品宅配を提供する「パルシステム」では、ヘルプデスク業務にヘルプデスクツールを導入しました。
想定されるクライアント環境に安定して接続できるツールを見つけたことで、確実にヘルプデスク業務をツールで自動化できるようになりました。あなたの会社でも自社に合ったヘルプデスクツールを導入すれば、ヘルプデスク業務を自動化して業務効率化へつなげられます。
まとめ
今回はヘルプデスク業務コスト削減の方法や、実際にコスト削減に成功した企業事例をご紹介しました。
ヘルプデスク業務を漫然と行っているだけでは、非効率な業務工程が増えてコストがかさんでいきます。問い合わせ件数自体を減らしたり、ヘルプデスクツールを導入したりすることで、業務環境は劇的に変化し、コストも削減できます。
まだコスト削減をしたことがないという場合は、ぜひこの記事を参考にしながらコスト削減を行ってください。
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