インターネットの発達により、場所を選ばず仕事ができる「リモートワーク」が普及しています。働き方改革を推進する手段として、リモートワークは最も有効な手段の一つです。
リモートワークができる場所は、国内にとどまりません。条件さえ合えば、海外からも本社につないでリモートワークを行う、といった手法も取れます。海外リモートワークを実現すれば、仕事の幅が広がるだけでなく企業側にもメリットがあります。
今回はリモートワークを検討している方向けに海外リモートワークとは何か、そしてそのメリットや課題などをご紹介していきます。
目次
海外リモートワークとは
海外リモートワークとは、その名の通り日本国外でリモートワークを行う方法です。
日本だけでなく、アメリカやヨーロッパなどでもリモートワークは広がっています。その中で、国境に捉われず国を跨いでリモートワークを行う方法も登場しています。
海外リモートワークのメリット
海外リモートワークを行うと、次のようなメリットがあります。
・社員の働き方における自由度を高められる
・海外の方も雇いやすくなる
・海外の情報がいち早く入ってくる
・リソースを逃がさずに済む
・時差を利用して、24時間365日業務を継続できる
社員の働き方における自由度を高められる
自社の中に、「海外で知見を広めながら、仕事を続けたい」という社員もいるかもしれません。従来であれば、物理的に本社から離れていると仕事を継続するのは難しく、社員は会社を辞めて海外で新しい仕事を探すなどの選択肢しか取れませんでした。
しかし現在では、日本でも海外でもインターネット環境がある程度整っています。海外リモートワークを実現すれば、たとえば「アメリカのロサンゼルスに行きたいが、その後も仕事は続けたい」という社員の希望に沿った働き方を提示できます。
また「1か月ほど海外に行って、仕事を続けたい」という一時的な本社離脱にも対応できるなど、仕事の柔軟性が高くなるのもメリットです。
海外の方も雇いやすくなる
海外リモートワークを実現すれば、海外の現地人も雇用可能になります。
たとえば海外に拠点がなくても海外の求人サイトに応募を掛け、リモートワークで雇用するといった方法も取れるようになります。海外の優秀な人材がほしい場合は、ぜひ海外リモートワークを検討してみてください。
海外の情報がいち早く入ってくる
海外リモートワークでは、日本以外に社内リソースが確保されている状況を作り出せます。これは情報収集という点でも、大きな効果を発揮します。
海外の情報はインターネットでも簡単に閲覧できますが、最新の情報は遅れて入ってくることも少なくありません。「なるべく最新の海外情報を、どの企業よりもいち早く手に入れたい」という場合は、情報を入手したい国に行って収集を行うのが一番手っ取り早いです。
海外リモートワークでは、社外リソースが現地の方とコミュニケーションを取る場面も多くなります。その中で仕入れた情報を本社で活用できれば、新しい商品やサービスなどの開発に役立てたりできます。
リソースを逃がさずに済む
社員にも自分の生活がありますから、急に大きな出来事があって本社に出社できない状況に陥ることもあります。
たとえば女性の場合、「夫が海外へ転勤するので、仕事を辞めてついていかないといけない」などの問題が発生する場合もあります。そのまま辞めてしまうと、企業側もリソース損失などのデメリットを受けることになるでしょう。
海外リモートワークでは海外でも引き続き働けるので、仕事を辞めずに済みます。結果的に優秀な社内リソースを、どんな状況になっても確保可能です。
実際に夫のアメリカ転勤時にリモートワークを利用して仕事を継続し、東京の事業所に戻ってきて再び活躍しているといった柔軟な働き方を経験している方もいらっしゃいます。
時差を利用して、24時間365日業務を継続できる
海外リモートワークでは、時差が発生します。時差を利用すれば、24時間365日業務を継続可能です。
一番分かりやすい事例が、インドでしょう。インドがIT大国として成長したのは、時差が大きく影響しています。
アメリカとインドは、時差が約12時間あります。つまりアメリカでは夜のとき、インドは朝です。これを利用して
・夜までにソフトウェアをアメリカからインドへ送る
↓
・インドでソフトウェアデータを受け取り、開発を続ける
といった仕事がいつでも続く体制ができ上がりました。
国にもよりますが、時差が大きい場所で海外リモートワークを行う場合もあるかもしれません。その場合は時差を利用して、24時間365日仕事を継続できる体制を整えてみてはいかがでしょうか。
海外リモートワークの課題
海外リモートワークを行うには、次のような課題があります。
・外国の環境がリモートワークに適しているか
・どうやって海外でのコミュニケーションなどをサポートしていくか
・仕事時間をどう合わせるか
外国の環境がリモートワークに適しているか
現在では多くの国でインターネット環境が用意されていますが、日本と同じように整備されているとは限りません。整備が中途半端だと、海外同士で情報のやり取りをするのは難しいでしょう。
また場所によっては、インターネット回線自体に問題はないがラグが生じ、仕事に影響が出る場合もあるでしょう。海外リモートワークを行いたい国がアメリカなどリモートワークが盛んな国であれば問題も解決しやすいですが、そうでない国だと環境整備が難しくなります。
どうやって海外でのコミュニケーションなどをサポートしていくか
海外リモートワークで海外の最新事情を知るためには、リモートワーカーに積極的にコミュニケーションを取ってもらわないといけません。しかし環境が変わって現地の方に話しかけるのを遠慮したりと、コミュニケーションが促進されない状況に陥るケースもあります。
また海外に行ったはよいものの、保険や税などをどうすればよいか分からないで困る社員もいるかもしれません。
コミュニケーションや福利厚生などに関する問題を解決するには、本社の協力も必要不可欠です。
たとえば海外に行く前に現地語の研修を行ってみたり、現地の法律や事情などを教えてみたりと、サポートを行えば社員もコミュニケーションが取りやすくなるでしょう。またコミュニケーションをたくさん取ればボーナスがもらえるなどの仕組み作りもよいかもしれません。
また保険はこのサービスに加入すればよい、税はこう払ったほうがお得など他の情報に関してもサポートできれば完璧です。
仕事時間をどう合わせるか
時差はメリットにもなりますが、デメリットにもなります。
たとえば「海外リモートワーカーともリアルタイムで連携して働きたい」という場合は、時間を合わせないといけません。しかし時差が大きすぎると自社は朝だが、海外では深夜になっていっしょに働きたくても働けなくなる可能性があります。
時差は人間の力ではどうしようもできないので、あきらめるしかありません。なるべく細かい連携を取りたい場合はツールを使って進捗管理したり、メッセージやり取りを行ってどんな時間でも問題なく働ける環境づくりが必要です。
まとめ
今回は海外リモートワークのメリット、そして課題などをご紹介してきました。
リモートワークが広がるにつれて、海外と日本をつないで仕事を行う形態も増えています。海外リモートワークを実現すれば社員の働き方の自由度が高まりますし、海外の情報も入ってきやすくなります。