現在「コロナウイルス(COVID-19)」の影響により、各企業の就業状況に大きな変化が出ています。
コロナウイルスの感染拡大防止のため、リモートワークを導入して活用する企業が増えています。しかし残念ながら、導入が上手くいっておらず収益に悪影響が出ている企業も同時に多いのが現状です。
リモートワークを上手く導入すればコロナウイルスの影響を抑えられるだけではなく、今後柔軟な働き方を推進できるという意味でも大きなメリットがあります。
今回はリモートワーク導入を検討している企業向けに、リモートワークで成功している企業事例を
・IT業界
・製造業界
・銀行業界
の3業界に分けて解説していきます。
目次
IT業界のリモートワーク
IT業界では、次のような企業がリモートワーク導入で成功しています。
・日本マイクロソフト
・NTTコミュニケーションズ
・サイボウズ
・NTTドコモ
日本マイクロソフト
パソコン向けOS「Windows」などでおなじみの「日本マイクロソフト」では、リモートワークの範囲を拡大させてきました。
今までの社内リモートワーク就業規則では
・仕事できる場所は自宅のみ
・週3日まで、3ヶ月以上連続して利用する必要がある
・2週間前までに申請しないといけない
などの制限がありました。
それを
・仕事できる場所の制限を撤廃
・日数の利用制限をなくす
・前日まで上司にメールで申請すれば許可が取れる
というように、より柔軟性のある規則に変更しました。
また「Microsoft Business」などのリモートワーク用ツールも提供しており、リモートワーク自体の普及を後押しする活動も行っています。
たとえば最近ではコロナウイルス対策のためリモートワークを導入したい企業のサポートを行えるよう、「セキュア リモートワーク相談窓口」を開設して相談に乗っています。今後もリモートワーク代表企業として、自社のリモートワークノウハウを外部に提供していくでしょう。
NTTコミュニケーションズ
光回線などインターネットインフラを支えている「NTTコミュニケーションズ」も、リモートワークを推進している代表的な企業です。
NTTコミュニケーションズでは、全社員に在宅勤務を提供しています。これにより会社に出られなくなったときは誰でも、仕事を中断せずに在宅で安心して勤務できるようになっています。
またカラオケチェーン「BIG ECHO」と協力してカラオケスペースを対策勤務場所として開放するなど、ユニークな取り組みも行っているのが特徴です。
ちなみにリモートワーク以外にも
・フレックスタイム制度
・半日や1時間単位などで有給休暇を取得できる制度
・介護支援に関する制度
など、社員の福利厚生に関する制度をさまざま取り入れています。
リモートワークを導入する際は、コロナウイルスに対応するためなど一時的なトラブルのことだけを考えても意味がありません。「今後もリモートワークを活用できる環境を整える」という観点で冷静に導入を進めていきましょう。
NTTコミュニケーションズの福利厚生制度は、参考になるはずです。
サイボウズ
グループウェア開発などで有名な「サイボウズ」は、地方創生支援など「CSR(企業の社会的責任)」活動に積極的な企業です。
リモートワークについては、「働き方宣言制度」というユニークな制度を実施しています。働き方宣言制度では、
・月、火、木、金の9時〜17時は会社
・水曜日の9時〜17時は自宅
など、自分の環境に応じて自由に働き方を宣言して決められます。
社員の裁量で自由に働き方を細かく決定できるのは、リモートワークに関する制度としては画期的です。
サイボウズでは働き方宣言制度など各種福利厚生を充実させ、社員満足度向上に成功しました。離職率を4〜5%程度とかなり低い割合にまで下げるなど、数値にも大きく結果が出ています。
サイボウズも日本マイクロソフトと同じように、リモートワークの普及活動に努めています。
NTTドコモ
携帯通信事業大手「NTTドコモ」はリモートワークへの取り組みが評価され、総務省から「テレワーク先駆者百選 総務大臣賞」を受けるなど実績もあります。
全正社員がリモートワークできるように、環境を整えました。たとえばモバイル端末でモバイルワークができるよう、専用のアプリを整備して利用できるようにしています。端末に情報が残らないよう工夫されており、セキュリティも万全です。
他にもさまざまなリモートワーク施策を行い、
・70%以上がワークライフバランスの向上を感じる
・時間外労働の大幅な削減を実現
・働き方改革セミナー実施など、ノウハウを外部に提供して収益につなげる
などの結果を出しています。
製造業界のリモートワーク
次は、製造業界の事例紹介をしていきます。
・カルビー
・マツダ
・カネボウ
カルビー
ポテトチップスなどで有名な「カルビー」は、トライアルなどを経て2014年から事務部門を対象にリモートワークを本格的に実施しています。
管理職も巻き込みリモートワークの利用を推奨した結果、2015年度にはリモートワーク利用者が2014年度から2倍に増えるなど確実に成果を出してきました。そして取り組みは「厚生労働大臣賞(輝くテレワーク賞)」を取得するなど、外部からも高く評価されています。
カルビーでは社員の生活満足度向上を最優先し、ワークライフバランスではなく「ライフワークバランス」という言葉をスローガンにしてリモートワークを普及させてきました。リモートワークを導入する際は、社員の満足度向上が結果的に収益につながることもよく理解しておきましょう。
マツダ
スポーツカー製造などで有名な「マツダ」では、一般に広く認知される前の段階からワークライフバランスに関する改革を進めてきました。
2000年にはすでにフレックスタイム制度を導入し、柔軟性の高い勤務ができるようになっています。また子育て支援に関する取り組みも進め、女性が働きやすい環境を整えてきました。
結果的に厚生労働省の「厚生労働大臣優良賞」を受賞したりと、大きな実績を残しています。
リモートワークについては、育児と介護を対象に所定時間の25%までの範囲で在宅勤務が認められています。今後もリモートワークに関する制度の充実に、期待が掛かります。
カネボウ
化粧品メーカー大手の「カネボウ」では、優秀な人材確保などを目的にリモートワーク制度を導入しています。
条件をクリアしている育児・介護を行う必要のある従業員を対象に、1日あたり所定労働時間の60%の在宅勤務を利用することが可能になっています。労働力不足の防止などに、大きな効果が出ているようです。
カネボウは取り組みが評価され、次世代育成支援行動計画を達成した企業として「くるみんマーク」を取得しています。
銀行業界のリモートワーク
最後に、銀行業界のリモートワーク事例紹介を行っていきます。
・三菱UFJ銀行
・みずほフィナンシャルグループ
・三井住友銀行
三菱UFJ銀行
メガバンク筆頭の「三菱UFJ銀行」は、テレワーク制度をメガバンクで初めて取り入れました。
育児・介護をしないといけない4,000人もの従業員に、週一度の在宅勤務を認めました。また一人一人の業務内容を可視化して、無駄な仕事の分析・現象にも取り組んでいます。
多様な人材が活躍できる場を作り、生産性を向上させるための重大な改革の一つとして導入が決定しました。
今後は銀行全体にリモートワークなどを浸透させ、社員の意識改革を行う姿勢を見せています。
みずほフィナンシャルグループ
RPA導入などITツールによる業務改革を進めている「みずほフィナンシャルグループ」では、
・サテライトオフィスの設置
・在宅勤務制度の実施
など、さまざまなリモートワークに関する取り組みも行っています。
2018年度には2,000人以上がリモートワークを利用しており、みずほ内でリモートワークが大きな広がりを見せているのがわかります。
みずほフィナンシャルグループは働き方改革における自社の取組を、「ダイバーシティ&インクルージョン ステートメント」という文書にまとめています。将来的に、一人一人が尊重しながら働ける環境を構築しようと努めています。
三井住友銀行
「三井住友銀行」は2014年に、多様的な働き方を推進する「ダイバーシティ推進委員会」を設置しました。同年11月から在宅勤務のトライアルを行い、対象部門を順次拡大させています。
2016年7月からは制度を本格的に開始し、育児や介護以外でも自由に利用できる制度として位置付けています。
利用者からは
・静かな環境で業務できるようになり、生産性が上がった
・家族とより長い時間を過ごせるようになった
など、効果を実感した声が多数寄せられています。
三井住友銀行のように、リモートワークを浸透させるには制限のない自由に利用できるリモートワーク制度も必要になってくるでしょう。
まとめ
今回はリモートワーク導入で成功している企業を、業界ごとに事例紹介しました。
コロナウイルス拡大が影響してリモートワークに注目が集まっていますが、リモートワーク導入を一時的な業務対策として考えるともったいないです。この機会にリモートワークを冷静に検討して、将来的な多様的働き方推進や優秀な人材確保などの重要な施策として導入してみてはいかがでしょうか。
ぜひリモートワーク成功事例も参考にしながら、リモートワーク導入を検討してみてください。