日本では現在、「DX(デジタルトランスフォーメーション)」が急ピッチで進められています。DX推進のために2021年9月にデジタル庁が発足されたりと、流れはさらに加速しそうです。
日本政府がDXの実現に懸命になっているのは、「2025年の崖」に日本が突き当たるのを心配しているからです。2025年の崖を乗り越えられない場合、日本は兆単位で経済的損害を被ってしまいます。
今回は2025年の崖について詳しくなりたい方向けに、その概要やDXを妨げる課題、そしてDXを実現して2025年の崖を乗り越える解決策などをご紹介していきます。
目次
ブラックボックス化がDXを妨げる!2025年の壁を超えるために解決すべき課題とは
システムを可視化しよう!2025年の崖を乗り越えてDXを実現するための方法
毎年12兆円の経済損失が起こる?2025年の崖とは
日本では現在、「DX(デジタルトランスフォーメーション)」が急ピッチで進められています。DX推進のために2021年9月にデジタル庁が発足されたりと、流れはさらに加速しそうです。
日本政府がDXの実現に懸命になっているのは、「2025年の崖」に日本が突き当たるのを心配しているからです。2025年の崖を乗り越えられない場合、日本は兆単位で経済的損害を被ってしまいます。
今回は2025年の崖について詳しくなりたい方向けに、その概要やDXを妨げる課題、そしてDXを実現して2025年の崖を乗り越える解決策などをご紹介していきます。
ブラックボックス化がDXを妨げる!2025年の壁を超えるために解決すべき課題とは
2025年の崖という言葉が始めて使われたのは、経済産業省がDX推進のために発足した研究会が提出したレポートの中です。レポートでは
・日本の現ITに関する根本的な課題
・具体的な対応策
・今後DXを進めるための方針
などが取りまとめられています。
日本の業務デジタル化は上手く進んでいるとは決して言える状態ではなく、特に中小企業では人材不足といった課題も付きまとい対応が遅れ気味です。レポートでは「日本がデジタル化に関する課題を解決できずにDXを2025年までに実現できないと、最大で年間12兆円の経済的損失が発生する」としているのがポイントです。
他にも2025年の壁に塞がれてしまうと、
・データの利活用ができずに、デジタル競争で世界的に敗者になる
・ITリソースが不足してシステム維持が困難になる
・システムのサポート終了によりセキュリティが脆弱になりトラブルが多発
といった問題が起きるとも伝えられています。
日本が世界的に競争力を付けて2025年以降も活躍できるように、企業はDXを推進して2025年の壁を乗り越えていく努力をする必要があるでしょう。
システムを可視化しよう!2025年の崖を乗り越えてDXを実現するための方法
現在2025年の壁を乗り越えるためには、次のような課題を企業が解決していく必要があります。
・DXを推進するための経営戦略があいまい
・ITシステムがブラックボックス化して属人化している
・システムが分割されて利用されておりデータの利活用が難しい
・DX担当となるIT人材の不足
・ベンダーとクライアント企業が対立
DXを推進するための経営戦略があいまい
人間は「何となくこうしたいからこれを活用して何かして」とあいまいな表現で命令されても、何をすればよいか分かりません。解釈がずれて間違った行動をしてしまう危険性も高まります。しかし日本では、現在でもあいまいな命令で社内を混乱させてしまうケースがよく発生します。
DXにおいても「とりあえずAIを導入するから、どうやってDXを実行するかは考えて」と現場に丸投げしてしまう経営層が多いのが現状です。
DXを推進するためには、トップダウンでの積極的なデジタル改革が欠かせません。たとえITに疎くても最低限の知識を身に付け、現場に「AIを導入して社内の問い合わせ業務をまずは自動化したい、手を貸して」といったように具体性のあるメッセージを伝えられるようになるかがDX化のカギを握っています。
ITシステムがブラックボックス化して属人化している
顕在産業省のレポートの中では、システムのブラックボックス化について大きな警鐘が鳴らされています。
日本のITシステムはその場しのぎで開発や機能追加などが行われているケースも多く、実際に作業を担当した人員でないと扱いきれないレベルになっているシステムも多く存在しています。一部の人員しか使えないようなブラックボックスのシステムが増加した結果、DXに向けてのシステム内容変更が難しくなっているのがポイントです。
また問題が起こらないとシステムの致命的な欠陥に気付けなくなっているのも問題になっています。現状のシステムについて理解を行い、どのような対策でブラックボックス化を解消するかもDX化においてポイントです。
システムが分割されて利用されておりデータの利活用が難しい
日本の企業では、「営業部とマーケティング部で利用しているデータが違う」ということも頻繁に起こっています。しかし現在では複数の部門を跨いで関係のあるデータを利活用できるようにする業務体制の構築が求められています。
データが分割されたままの状態で業務を進めていると、必要なデータが部門間で共有されずに会社の競争力が落ちてしまう原因にもつながるのがネックです。クラウドサーバーを活用するなどして、効率よく部門間でデータを共有して利活用できるように体制を整える必要があります。
DX担当となるIT人材の不足
DXを社内で推進するためには、現場にDXについて詳しく理解した上で対策を実行できるITに明るい人材を配置しておく必要があります。しかし日本社会全体でIT人材は不足しており、競争力がない中小企業では上手くITリソースを集めきれないのが問題になっています。
また既存のIT人材が退職して辞めてしまうのも課題です。システムの改修やトラブル解決にあたってきた人材が退職していなくなってしまうと、「システムにどうログインして内部を調べればよいのか」といった点で問題が出てきてしまいます。
IT人材が社内にいるうちに新しい人材の教育を行い、ノウハウを共有できるようにしておくことが重要です。
ベンダーとクライアント企業が対立
日本企業の多くは、クライアント企業がベンダーに頼ってシステムを開発してもらっています。そしてベンダーにシステム改修を丸投げしようとして対立してしまうケースも発生しているのが問題です。
ベンダーもクライアント企業側の細かいシステム利用状況や課題を完全に把握できません。仕事を引き受けるリスクが分からずに受注したくてもできないような状況が発生する可能性があります。
クライアント企業でもシステムの現状や課題などを把握して、具体的にどうして欲しいのかベンダー側に提案できるスキルを身に付ける必要があります。実際海外の企業は社内にもIT人材を抱えており、クライアント企業とも対等に話し合えるような状況を作り出しているので事例を参考にしてみましょう。
まとめ
今回は2025年の壁の概要、そしてDXを阻む要因や解決策などを解説しました。
経済産業省のまとめで、2025年以降毎年12兆円の経済損失が日本で発生する可能性があることが分かっています。2025年の壁を乗り越えて日本が世界的に競争力を維持するためにも、企業側ではDX目的の明確化やシステムの再構築などが求められています。