近年注目を集めているDX(デジタルトランスフォーメーション)。経済産業省が社内のDX化を推奨するなど、国全体が推進しています。これを受けて、多くの企業で社内DXに向けた取り組みをしていこうと検討しているのではないでしょうか?
しかし、社内で関連知識を持っている人材がいないために、なかなか進まないということもあるかと思います。そこでおすすめなのが、「DX認定制度」を取得することです。今回は、DX認定制度の概要と取得するメリットと認定されるためのコツについてご紹介します。
目次
DX認定制度について
では、「DX認定制度」とはどのようなものなのでしょうか?まずは、概要から申し込み方法までを解説します。
DX認定制度の概要
DX認定制度とは、2020年5月15日に施行された「情報処理の促進に関する法律の一部を改正する法律」に基づく制度です。デジタル技術やビッグデータを活用することで、経済発展と社会的課題を両立する「Society 5.0」の実現に向けた取り組みを積極的におこなっている企業に認定が与えられます。
DX認定は、以下3つのレベルで構成されています。
・DX-Ready:本制度で認定される状態
・DX-Emerging企業:DX-Readyの企業から選定される
・DX-Excellent企業:DX-Readyの企業から選定される
本制度で認定されるのは「DX-Ready」の状態であり、それ以上のレベルはDX銘柄制度との連携をおこなった上で選定されます。
DX認定制度が推進された背景
DX認定制度が推進された背景には、経済産業省が定めている「デジタル・ガバナンスコード」があります。デジタル・ガバナンスコードとは、企業のDXに関する自主的取り組みを促すために必要なことを意味しています。
DX認定制度では、デジタル・ガバナンスコードに記載されている事項への対応が認定基準です。詳しくは下記記事で解説しているので、ぜひ参考にしてください。
関連記事:DX推進指標から読み解くアクションプラン
DX認定制度の申し込み方法
DX認定制度はIPA(情報処理推進機構)が「DX認定制度事務局」として、各種問い合わせや認定審査を担当しています。
申し込みは、2020年11月9日より運営されているWeb申請システム「DX推進ポータル」からできます。DX推進ポータルでは、必要事項の記入を進めていくほかに必要書類の提出が必要です。また、認定制度以外にも「DX推進指標」と呼ばれる自社の取り組み状況と他社の状況を比較できるものや、より優れた上場企業を選定する「DX銘柄」などの機能も備えています。
DX認定制度を推進すべき3つのメリット
DX認定制度を推進することで、以下3つのメリットが得られます。
・DX推進に向けた基礎知識が身につく
・企業の社会的信用・ブランド力向上につながる
・「DX銘柄」の選定企業に選ばれる可能性がある
それぞれ解説していきます。
DX推進に向けた基礎知識が身につく
DX認定制度は、デジタルガバナンス・コードに基づいて社内改革を進めるのが重要なため、推進することでDXに関する知識が自然と身につくでしょう。
デジタルガバナンス・コードは、以下の「4つの柱」で構成されています。
1:ビジョン・ビジネスモデル
2:戦略
2-1:組織づくり・人材・企業文化に関する方策
2-2:IT システム・デジタル技術活用環境の整備に関する方策
3:成果と重要な成果指標
4:ガバナンスシステム
「4つの柱」それぞれの詳細については、後ほど詳しく解説します。
企業の社会的信用・ブランド力向上につながる
DX認定制度は、国に認められることで取得できるため、社会的信用やブランド力向上につながります。企業のホームページなどに、DX認定制度取得を記載できるため、DX化に向けて積極的に取り組んでいる企業だと証明できます。
また、企業の信用力が向上することで自社サービスに対してもプラスに働くため、結果的には企業利益にもつながるでしょう。
「DX銘柄」の選定企業に選ばれる可能性がある
DX銘柄とは、上場企業の中からDX推進に長けている企業を業種ごとに最大1~2社ずつ選定して紹介するものです。DX銘柄に選定された企業は、デジタル技術に優れていると判断されるだけではなく、ビジネスモデルそのものが社会全体に大きな影響を与えている企業だと判断されるでしょう。
DX-Readyの状態と比べると、よりDX推進に向けて果敢な挑戦をしているのが読み取れます。
DX認定制度に必須の4つの柱とは
DX認定制度は、デジタルガバナンス・コードに記載された事項を満たすことで取得できます。ここでは、デジタルガバナンス・コードに定められた4つの柱を解説します。
ビジョン・ビジネスモデル
ビジョン・ビジネスモデルでは、企業の経営ビジョンやビジネスモデルがデジタル技術を活用したものになっているかが重要です。
デジタル技術はただ導入すればいいのではなく、自社が抱える強みの強化や弱点の改善を実現し、新しい価値を社会に対して提供する必要があります。
戦略
戦略では、以下の2点が重要です。
・組織づくり・人材・企業文化に関する方策
・IT システム・デジタル技術活用環境の整備に関する方策
つまり、あらゆるデータを活用して企業戦略を展開するべきであると定めています。また、DX推進に必要不可欠な組織作りをするために、専門の組織や意思決定のできる人材確保が必須です。
環境が整ってからは、企業が昔から抱えるレガシーシステムの再構築や最新のテクノロジーを導入するための体制作りを進めていかなければなりません。
成果と重要な成果指標
成果と重要な成果指標では、DX化に向けて明確なゴールを定める必要があります。定めるべきゴールは、外部に公表している必要があり、定量的な指数や定性的な指数を定めなければなりません。
例えば、DX化によって社内システムを全てクラウドに移行し、あらゆるデータを活用できる基盤を整えるなどです。
ゴールを達成した結果、最終的には企業の業績につながるのも大切でしょう。
ガバナンスシステム
ガバナンスシステムとは、経営層のリーダーシップやコミットメントを表しています。つまり、経営者が不正を働かないためにも、取締役会は経営者の取り組みを定期的に監視しなければならないのです。
認定されるためには、経営者はDX推進の部門責任者と積極的にコミュニケーションを取り、取締役会や経営会議で定期的な報告や議論を進めることが求められます。
まとめ
これからの時代、どの企業においてもDX化が求められます。なぜなら日々新しい技術が登場している中で、企業内では古くから使われているレガシーシステムが存在しているからです。DX化を推進するためにも、DX認定制度の取得に向けた活動は非常に効果的です。まだDX化に向けた動きをしていない企業の方は、今回の記事を参考に活動をしていきましょう。