現在、あらゆる企業にDX(デジタルトランスフォーメーション)が求められています。DXを推進することで、あらゆるデータの有効活用につながったり、無駄なシステムを削減できたり、働き方の改善につながったりするでしょう。
しかし、DXを推進しようと思っていても、さまざまな原因によってなかなか進まないという企業も多いと思います。そこで重要なのが、課題と解決策を事前に認識しておくことです。推進の弊害となる事象が発生したとしても、余裕を持って対応できるでしょう。
そこで今回は、社内でDXを導入するときに想定される課題と解決策について解説します。
目次
DXとは
DX推進を阻害する6つの課題とは
DX推進の課題を解決する4つの方法
まとめ
DXとは
DXとは「デジタルトランスフォーメーション」の略称で、デジタル技術を活用して急速なビジネス変化に適応することです。近年は、経済産業省がDXの基準等を記述したガイドラインを発表するなど、国が率先して推進させる動きを見せています。
DXでは単純に最新のデジタル技術を導入すればいいのではなく、導入によって得られるメリットを考えるのが重要です。例えば、CX(顧客体験)や自社製品・サービスの収益を向上させたいと考えた場合、商品やサービスの購入に至るまでの経緯や購入後の状態などをデータとして収集し、分析していくことで新たな施策を打ち出せます。CXが向上すれば、顧客に満足できるサービスを提供できていることになるため、結果的に収益向上にもつながるでしょう。こういったメリットにつなげることで、DXを導入する意味が生まれます。
関連記事:DXを実行するための基本が身に付く!DX推進ガイドラインとは
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DX推進を阻害する6つの課題とは
ですが、DXを導入しようと思っても、多くの阻害要因によってなかなか進めづらいことがあります。その要因ですが、主に以下の6つが挙げられます。
・レガシーシステムの残存
・DXへの理解
・情報の分散
・DX人材の不足
・ITへの投資不足
・経営戦略に具体性がない
レガシーシステムの残存
「レガシーシステム」とは、古くから使われているシステムのことで、社内独自のシステムを指します。
企業でよくあるケースとしては、レガシーシステムに独自のロジックを組み込んでいき、複雑なシステムとなってしまうことです。しかも、古いシステムほど作成者が既に退職してしまっているケースが多く、システムを深く理解している人がいないこともあります。そのため、レガシーシステムがないと業務が回らないレベルになってしまい、作り変えるのが困難になってしまうのです。
DXへの理解
DX推進を進めていくためには、社内全体を巻き込んで進めなければなりません。しかし、DXは今までの業務をデジタル技術で変えていくため、社員の中にはDXに対して否定的な意見を持つ人も見受けられます。そのため、社内の協力を得るためにもDX化をする背景やメリットを共有する必要があります。
DXの推進本部だけで勝手に進めるのではなく、周りとの合意形成を得ながら進めることが、DXには必要なのです。
情報の分散
DXではあらゆるデータを収集し、分析することで新たな取り組みをしていきます。しかし多くの企業では、部署ごとに固有の情報管理をしていることが多く、データを活用できる状況ではありません。
部署ごとに情報を管理している場合、分析時に部署ごとのデータを一つにまとめる作業が必要になります。また、データの種類はすぐに扱える状態になっているものばかりではなく、紙に記載されたものやPDFのデータもあります。すぐにデータとして扱えないものは、手作業でエクセルなどに打ち込んでいくか、新たなデータ収集方法を形成していくなどの対応が必要です。
DX人材の不足
DXを推進するためには、DXに関する知見を持っている人物が必要です。しかし、DXに詳しい人材は需要が高い一方で育成に時間がかかるため、多くの企業で人材不足となっています。
育成に時間がかかる原因としては、DXに関する知見が必要になるだけではなく、ITに関する幅広い知識や業務知識も必須だからです。また、技術面以外にも周りを巻き込む力も必要になるため、積極性や向上心が求められます。
ITへの投資不足
企業では、直接的な収益につながりやすい開発費などに投資をしているため、間接的に利用するITへの投資が不足しているケースがあります。そのため、DXを推進しようと思っても着手できないという事態が発生することがあります。
また、日本企業の特徴として新しいことに投資するよりも、現状維持のために予算を投資していることが多く見られます。DXの推進という新しい施策に対してかけられる予算がなかなか決まらない、といった事態も考えられるでしょう。
経営戦略に具体性がない
DXを推進するためには、まず達成すべきミッションを明確化にすることが必要です。「DXを推進すること」自体が目的になってしまい、ビジネス変革に至らないケースがあるからです。
今までやってきた業務すべてをデジタル技術を活用すればいいのではなく、予算や工数も考慮に入れて優先度を決めていかなければなりません。例えば、アナログな方法でも運用を変えることで変革できるのであれば、無理にデジタル技術を活用しなくても良いのです。
途中で目的を見失わないためにも、経営層が明確にゴールを設定し、企業全体で共有すると良いでしょう。
DX推進の課題を解決する4つの方法
DX推進の課題を解決するためには、以下の4つの方法が効果的です。
・システムの刷新
・DX人材の確保
・社内全体を巻き込む
・統合データベースの構築
システムの刷新
DXを推進する際は、レガシーシステムの撤廃が重要なポイントです。前述しましたが、レガシーシステムの残存はデジタル技術の活用時にさまざまな制限を与えてしまいます。撤廃に向けて新たなシステムを構築する場合は、現在社内にあるシステムを棚卸するところから始めましょう。
システムを作成する際のポイントは、「レガシーシステムをベースに新たなシステム検討を進めない」ことです。
レガシーシステムが単純な場合は、コードなどから仕様を洗い出せるでしょう。しかし、システムが複雑すぎると現状の把握から新たなシステム構成を検討するまでに多くの時間を要してしまいます。また、システムごとに独自の機能を構築しているケースが多いため、共通化して要素を作りこむ意識を持つことが重要です。
新たなシステム構成を検討する場合は、クラウド環境をベースにしたほうがデータの活用もしやすいでしょう。
DX人材の確保
DXを推進するためには、社内で先導して進めていくDX人材の確保が必須です。
DX人材は、社内で育成していくか外部から雇うかの2パターンがあります。社内で育成する場合は、誰をDX人材として選定するのか、どのように育成を進めていくのかを検討しなければなりません。外部の場合は既に知見を持った人材を雇えますが、社内独自の文化や仕組みを理解していないため、DXに着手する前に社内理解から始める必要があるでしょう。
社内全体を巻き込む
DXを達成するためには、社内全体の協力が不可欠です。
DX本部だけで進めたとしても、現場のスタッフがシステムを利用することが多いため、結果的に大きな不満につながる可能性があります。システム構築時には、一貫性のあるシステムにするためにも部門ごとにシステムの連携が必要となるでしょう。
統合データベースの構築
DX推進では、ビッグデータの活用やデータ連携がポイントとなります。
活用するためには、全てのデータを一つにまとめるようなデータベースを構築すると効率的にデータ収集ができたり、データの活用がしやすくなったりします。もし、データの場所は一元化されていない場合、違うデータベース同士をつなぐためにドライバが必要になったり、一度CSV出力をして取り込む必要があるなどの手間が発生します。
統合データベースを構築することで、効率的なデータ収集と活用ができるのです。
まとめ
今回は、社内でDXを導入するときに想定される課題と解決策について解説しました。
社内DXは、経済産業省で推進されていることもあり、多くの企業で進めていこうとしています。しかし、さまざまな課題があり、思ったよりも進んでいないのが現状です。
現在、社内DXを進められずに悩んでいる方は、今回ご紹介したポイントを参考に、DX推進に役立ててはいかがでしょうか。