近年問題になっている労働人口の不足から、企業の人材獲得合戦は過熱しています。優秀な人材に選んでもらうために企業側はさまざまな取り組みを行っていますが、中でも力を入れている企業が多いのが、「福利厚生の充実」です。福利厚生は、新入社員のみならず、様々なライフスタイルやライフステージを抱える人にとって会社選びのポイントとなる要素でもあります。
しかし、福利厚生を充実させすぎると、福利厚生に関する企業側の経費負担の問題につながりかねません。
そこで注目されるのが、福利厚生のアウトソーシングです。
(2021年3月26日更新)
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目次
企業の負担軽減のためのアウトソーシング
福利厚生はレジャーや外食といったエンターテインメント系のものや、セミナーや資格取得支援といったスキルアップ系など、各企業さまざまなジャンルで展開しています。しかし、これらの「特典」には施設の保有や維持管理、各提携企業とのやり取りなどが不可欠で、サービスを充実させることで自社での負担が増えてしまいます。
また、各施設の維持管理費、提携業との契約費用など、さまざまなコストも発生しますので、企業側としては削減したいコストの対象となります。
福利厚生の業務をアウトソーシングすることで、こういった人件コスト、管理コストがなくなります。処理業務などの業務も一括して外注できるため、社員をより生産性の高い業務に取り組ませることができます。
福利厚生のアウトソーシング<メリット>
福利厚生をアウトソーシングすることによって、以下のようなメリットが考えられます。
社風に合わせた福利厚生を選ぶことができる
業界や業種、働き方によって「あったらいいな」と社員が思う福利厚生の内容はさまざまです。どの業界や企業でも保険関係や住宅手当の充実は見られますが、子育て世代や女性従業員が多い企業からは育児支援であったり、社員の教育に力を入れている企業は自己啓発の機会提供や教育費の補助など、自社の社風に合った福利厚生を選ぶことができます。
コストを削減できる
福利厚生をアウトソーシングすることで、人件費や業務の負担を軽減できることも大きなメリットです。例えば、レジャー施設の利用補助をしている場合、窓口業務や施設との連絡、利用状況や保険の管理などすべてをアウトソーシングできます。
また、レジャー施設の管理も単独で行っている場合は、その管理費も膨大になります。福利厚生をアウトソーシングすることで共通利用となり、管理費も大幅にカットできます。
社会保険に関わる最新の法律を常にアップデートできる
社会保険関連の法律は、年々改正されます。さらに、健康保険、介護保険、雇用保険、厚生年金保険、労災保険など各種保険があり、高い専門性が必要です。
福利厚生をアウトソーシングすることによって、正確な知識を持ったプロに任せることができ、法律改定にもきちんと対応してくれます。
また、アウトソーシング先と情報を共有できるようにしておけば、担当者の知識も定期的にアップデートすることができます。
社員満足度、企業の魅力アップに繋がる
豊富なサービスプランを有する専門業者に一括して請け負ってもらうことで、社員が受けられるサービスの選択肢も増えます。また、施設や特典サービスなどもより高いクオリティのものを利用できるため、企業としての魅力アップにもつながるでしょう。
福利厚生のアウトソーシング<注意点>
企業負担軽減とイメージアップのためにも効果的な福利厚生のアウトソーシングですが、いくつかのデメリットを考慮した業者選定と導入準備を行うことも必要です。
依頼できる体制を整えないと、手続きが煩雑になる
多くの代行サービス業者は、インターネット上で社員個人から利用申請ができるようになっています。福利厚生のサービス内容や利用申請方法の変更などを導入時にしっかりと周知してもらう必要がありますし、サービス内容によっては申請手続きが複雑化してしまう可能性があります。
社員がスムーズかつ気軽にサービスを利用できる体制づくりを行わないと、利用率が減少し、費用対効果が低くなってしまうといったところも注意しておきたいポイントです。
アウトソーシング先との情報共有が必須
福利厚生の満足度を上げるためには、社員がどのくらい利用しているか、利用時のトラブルの有無やサービスを利用した後の感想や改善点などを定期的に共有していく必要があります。
また、社会保険関係の内容をアウトソーシングする場合、ミーティングなどの情報共有の機会が多くなるかもしれません。アウトソーシングすることで「ブラックボックス化」してしまう部分がないように注意しましょう。
大型連休などの影響で、利用できない施設が出てくる可能性がある
大手代行サービス業者では複数の企業とサービスを共有することになります。そのため、夏季休暇などの大型休暇に各地の宿泊施設の予約が取れない、といった問題が出てくるかもしれません。「利用できない可能性」も想定しながら、業者選定や契約内容の取り決めなどを進めていきましょう。
企業はより充実した福利厚生を目指すことが人材戦略の要
代行サービス業者に丸投げし社員の利用率が低いままにしておいては、アウトソーシング費用のムダになるだけでなく、企業イメージも低下してしまいます。そのため、総務や人事担当者は定期的に利用率の調査を行い、サービス内容を更新していきましょう。
そうすることで、いつも新鮮で魅力的な福利厚生を提供していくことができ、社員のモチベーション向上や優秀な人材の獲得へとつながっていきます。
社員に長く楽しく働いてもらうための戦略のひとつとして、福利厚生のアウトソーシングを有効活用し、より豊かな企業文化を構築していきましょう。
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