様々なものを「シェア」する動きが、経済に新たな流れを生み出しました。
ここ数年、空間、モノ、スキルなどの幅広い分野でのシェアサービス事業が活性化し、多くのスタートアップが誕生するとともに、各企業もシェアリング市場に参入してきています。
では、このシェアによる経済の動き(=シェアリングエコノミー)とは一体どのようなもので、わたしたちの生活やビジネスにおいてどのような影響を与えるのでしょうか?
目次
必要な時必要なスキルだけを売り買いするスキルシェアリングの拡大
シェアリングエコノミーは遊休資産の有効活用
株式会社DeNA社長、原田明典氏は、シェアリングエコノミーを「社会の中で使われていない資産やリソースを有効活用することによって、新しい価値を生むもの」と定義しています。
これまでの社会においては、車もモノもスキルもすべてが個人の占有資産でした。
しかし今、インターネットの普及によって、眠っているこれらの保有資産を気軽に売買できるようになりました。市場がどんどん成長し、経済への影響力を拡大してきたため、新しい経済活動として、「シェアリングエコノミー」が注目を浴びるようになったのです。
関連ページ:シェアリングエコノミーのメリットとデメリットとは?
シェアリングエコノミー 事例その1:部屋
シェアリングエコノミーで提供できるものの中には、マンションやアパートなどの部屋があります。短期滞在のための家や部屋を提供するairbnbは、シェアリングエコノミー創設期の画期的なサービスのひとつです。
世界各国の別荘やマンション、空いている部屋を旅行客などに貸し出すサービスは、不動産投資と先進国の人口減少の流れとうまくかみ合って、一気に広まりました。
シェアリングエコノミー 事例その2:自動車
複数の人で車をシェアし、必要なときだけ借りるカーシェアリングサービスは、車の所有に魅力を感じないミレニアル世代を発端に、拡大を続けています。
特に都心部では駐車場代や維持管理費の負担を避けたい利用者が多く、個人だけでなく、企業においても営業用車をカーシェアリングに変更する動きが続いています。
「車は共有するもの」という流れは世界各国で広まっており、販売数が減少を続ける各自動車メーカーも自社でシェアリングサービスを始めるところが増えました。今後はますます一般的となっていくでしょう。
関連ページ:【交通手段をシームレスにつなぐ】MaaSとは
必要な時必要なスキルだけを売り買いするスキルシェアリングの拡大
楽器や料理、英会話やデザインといった幅広いジャンルのスキルシェアが展開するココナラでは、一回の利用料が500円程度という気軽さから、爆発的に登録者・利用者ともに増えました。
今年(2018年)に入って、こうしたスキルシェア市場がさらに変化し、よりプロフェッショナルなスキルの売買への需要が高まりを見せています。働き方改革の推進もあり、日本の各企業がリモートワークや在宅勤務を推奨したり、副業やリカレント教育を支援したりするようになり、クラウドソーシングでスキルシェアをする人や企業が増えていったのです。
ネット上で仕事を委託する企業側としても、人材を占有するより、必要なときに必要なスキルを持つプロにアウトソーシングする方が、コスト削減と品質の維持・向上につながります。また、受託する側も自分の得意な分野を活かしながら、時間や場所に縛られることなく報酬を得ることができ、またその分野での業務実績を詰めることでスキルアップを図れるので、両者にとっての利点がプロスキルシェア市場を活性化させる要因になっているのです。
関連ページ:「クラウドソーシング」とは? 活用するメリットとデメリット
個人BPOベンダーがシェアリングエコノミーに台頭してくる
総務や人事といったある部署の業務を一括して請け負い、効率的に処理してくれ、かつ自社での人件コストも削減できる…などの効果により、多くの企業がBPOベンダーを導入しています。
昨今のクラウドソーシングでのスキルシェアの中では、総務や経理といったBPO対象になっていた業務を個人が請け負う事例が増えてきています。現段階では企業対個人で総務部の業務を丸ごと請け負うという形ではありません。企業の総務部に勤める個人、または個人事業主から個人に対して、書類作成や問い合わせ対応代行といったサポート業務を依頼する形が主流です。
このようなプロスキルのピンポイント需要の高まりから、今後は業務サポート以外にもコンサルティングなども含めた多岐に渡るスキルを提供する、BPOベンダー的役割の個人ワーカーが増えていくでしょう。
モノもスキルも共有することで新しい関係性が構築される
シェアリングエコノミーは、これまでの供給サイドにあった企業と、需要サイドにあった消費者との関係性を一新しています。
垂直型の経済ではなく、縦横無尽なスパイダー型の経済を生み出したシェアリングエコノミーは今後もわたしたちの生活に変化をもたらしていくでしょう。
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