商品の価値というのは、品質や使い勝手など、さまざまな要因で決定します。特にネットワークが普及してきた現代では、どれだけのユーザーが商品を利用しているか、そしてどれだけの関連商品、また使える場面が多いかなどによって価値が大きく作用されるものです。
そんな商品の価値を決定する際の重要な指標のひとつに、「ネットワーク外部性」というのがあります。今回は商品の価値を決定する重要な指標になる「ネットワーク外部性」とはどのようものかご紹介していきます。
目次
ネットワーク外部性とは
例えば電話は利用者が少数しかいない場合価値がありません。電話の価値というのは誰とでも話せるという点にあり、ユーザーが少なくてはその条件を満たせないためです。
現代では「iPhone」や「Androidフォン」をはじめとしたスマートフォンを1人1台は所有するのが基本になりました。この状態だと誰とでも通話が可能なため、電話でもあるスマートフォン自体の価値が大きく上がります。
このように商品自体の品質といった内部的要因ではなく、利用者が増えることによって利便性が高まり、結果商品の価値が高まるという外部的要因をネットワーク外部性と呼びます。
外部性の種類
ネットワークの外部性には2種類あります。
・直接的効果
直接的効果とは、「商品の利用者数が、そのまま商品の価値に直結する性質」のことです。
SNSが代表的な例です。「ソーシャルネットワークサービス」という名の通り、SNSはネット上でさまざまな話し相手を作るために開発されたサービス。この話し相手、つまり利用者が少ないとSNSの価値も下がってしまいます。
利用者が多いとSNS上で年齢や人種などさまざまな違いを超えたやり取りができるため、SNSの価値自体が上がります。このように、直接的効果はSNSなどのコミュニケーションツールによくみられる性質です。
・間接的効果
間接的効果とは「商品を補完する関連商品が増えることによって、相対的に商品自体の価値も高まる性質」のこと。
例えば動画配信サービスとして有名な「Youtube」。Youtubeに20本や30本しか動画がなければ、すぐにユーザーが見飽きてしまい今のように広まることはなかったでしょう。
しかしYoutubeには日々たくさんのユーザーが動画投稿を行っています。Youtubeというサービスに対して、動画という副次的なコンテンツがどんどん増えたおかげでYoutube自体の価値も高まります。結果Youtubeは押しも押されもしない一大動画配信サービスへと成長したわけです。
他にもビデオレコーダーやテレビゲームなど、コンテンツが増えることによって多様性が高まり、間接的効果で価値が高まる商品はたくさん存在します。
ネットワーク外部性の事例
ここからは実際のネットワーク外部性の事例を、直接的効果と間接的効果の2つに分けてご紹介していきます。
・直接的効果の事例:Facebook
知らない人はいないSNSサービス「Facebook」は直接的効果の典型的な例です。
SNSは以前から存在しました。しかし当時のSNSは少数の若者が遊び程度にチャットを行うのが主な使い方で、マイナーなコミュニケーションツール。とても実用に耐えうるものではありませんでした。
しかしFacebookの場合、登録が簡単で自由に投稿ができるだけではなく、投稿がシェアされてたくさんのユーザーと情報共有ができる、「いいね!」を付けたアカウントや友達の投稿が優先的に自分のページ内で上位表示されるなど、従来のSNSより使い勝手がよく、パーソナライズ(個人に最適化)できる便利なツール。また私用だけでなく、広告などを出してビジネスでも利用可能です。
こうした利便性の高さによってFacebookは若者に限らず老若男女に、そして私用やビジネス用とどんどん普及。ユーザーが増えたことにより直接的効果が働き、誰とでも気軽にやり取りができる不動のツールとしての地位を保っているのです。
・間接的効果の事例
間接的効果の事例としては、スマホ決済サービス「PayPay」が挙げられます。
PayPayは現在注目のスマホ決済サービス。従来のクレジットカードや「おサイフケータイ」といった決済技術に対応するには、店舗側に専用の決済機器がないといけません。導入費も高額で、どこの店舗でも導入できるわけではありませんでした。
PayPayでは導入時に必要なのはタブレットと専用アプリといったシンプルな組み合わせで、コストがかかりません。手軽にスマホ決済を導入できるとあって、経営規模に関わらずPayPay加盟店がどんどん増加。
実際まだはじまったばかりのサービスにもかかわらず、スマホ決済サービス利用者ランキングトップ3に食い込んだりと、爆発的な人気を見せています。この人気を支えているのは利用できる店舗(場面)が爆発的に増えている、つまり間接的効果が働いているから。今後はネットサービスでの決済でもPayPayが使えるように施策が打たれるということですから、これからもPayPayの間接的効果が高まり、シェアを伸ばしていくことが予想されます。
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まとめ
今回は商品の価値を左右するネットワーク外部性についてご紹介しました。
ネットワーク外部性を意識してネットワークで普及しやすい仕組みを商品に導入すれば、一気に価値を高めて収益につなげられる可能性があります。ただしネットワークにはトレンドがあり、流行が過ぎると一気にシェアが落ちてしまう危険性も。ネットワーク外部性を商品に取り入れるときには、ユーザーの趣向などデータ分析を行い、トレンドに左右されにくいネットワーク外部性を商品に持たせるようにしましょう。
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